「蒲島郁夫の思いー世界一の熊本へ」を読む
いかなるものの固有な性質も価値も君の眼を逃れることのないように、ものの内部を見よー熊本県の蒲島郁夫知事の座右の銘としているマルクス・アウレーリウス『自省録』の中の言葉です。
高校時代は落ちこぼれ、高校卒業後、農協の職員となり、アメリカで厳しい環境の中での農業研修。ネブラスカ大学での学科研修後、さらに一時帰国して、再渡米留学へ。大学では豚の精子の保存方法を研究し、大学に残ることを薦められながら、小さいことからの夢、政治を勉強したい、政治ならハーバード大学と門をたたき、博士号を取得しました。筑波大学の講師・教授を経て、東京大学教授、そして、60歳で、熊本知事選への出馬、当選となりました。
福岡大学の永野芳宣客員教授が書かれた『蒲島郁夫の思い』は、蒲島氏が出馬に思い立ち、永野氏を訪ねてくるところから話が始まり、蒲島知事が熊本城に目をつけ、自分の政治に大いに活用しようというユニークな取り組みや、自らの経験に基づいた政治判断などがドキュメント風につづられています。そして、冒頭に経歴を簡単にたどっただけでもわかるように、どんな難しいことでも、その思いで乗り越えいく、「アバーブ・ジ・エクスペクテーション(期待値を超えて)」の実行力にも焦点が当てられています。
2011年九州新幹線が全線開通となり、九州の中でもその存在感を各地域がどう示すかという時期を迎え、蒲島知事がどのように熊本を変えるのか、注目したくなる一冊でした。
『蒲島郁夫の思いー世界一の熊本へ』(財界研究所)