奥野正男先生「邪馬台国はここだ」
奥野正男先生の30年の邪馬台国研究の集大成となる著作集Ⅰ(全五巻)『邪馬台国はここだー吉野ヶ里はヒミコの居城』が発刊されました。
奥野先生は、『季刊邪馬台国』の創刊一周年記念論文で最優秀賞を受賞、安本美典編集長が「鉄と鏡についての圧倒的なデータの示し方は、当初から完全にプロであった」と評しています。その後、邪馬台国九州説を唱えて、多くの著作を出され、そうした研究成果が認められ、宮崎公立大学教授に。さらに、旧石器捏造事件を扱った『神々の汚れた手』で2004年毎日出版文化賞を受賞されています。
奥野先生は、邪馬台国の謎解きにおいて、科学的な視点を大事にされています。邪馬台国の場所を特定の場所にするために資料を勝手に読み替えたり、神話から歴史の推論を立てることの問題を指摘されてきました。さらに、三角縁神獣鏡が中国からもたらされた物という邪馬台国畿内説の主たる論に、中国からも、韓国からも出土しておらず、国内製造されたものという重要な反論を打ち立てました。この反論は、考古学会での通説に反論するという大変な力に対峙する、われわれ素人では想像も及ばない圧力のかかる仕事であったようです。
また、こうした姿勢は、『神々の汚れた手』にも表れ、勇気ある告発は、閉ざされた考古学会への警鐘となる一方、さまざまな反発を一手に受けることになってしまったことは大変気の毒でなりません。
奥野先生の業績は、まさに今後さらに歴史が評価することになると思いますが、渾身の研究成果の集大成となる著作集は、今巻き起こる「纏向遺跡の畿内説」に対し、雄弁に語る九州説の熱い思いがあると思います。
奥野正男著作集Ⅰ 邪馬台国はここだー吉野ヶ里はヒミコの居城ー(梓書院)












