社外取締役の役割
大学で日本史を教える高屋が、安請け合いで上場企業の社外取締役の就任、かりそめの社長の椅子にも着き、権力闘争に巻き込まれ、思わぬ過去の問題で失脚…コーポレートガバナンスをテーマにした牛島信さんの『社外取締役』を読みました。
日本企業を取り巻く環境が大きく変化し、コーポレート・ガバナンスの重要性が認識されてきています。これまで上場企業の取締役会は、内部出身者の取締役で構成され、また世界的に見ても人数が多いと指摘されてきました。
しかし、1997年のソニーが導入してから、多くの企業が、意思決定や監督責任から分離された業務運営の責任者である執行役員制を導入し、取締役会の規模を大幅に縮小させました。
そして、2001年の商法改正を契機に、社外取締役を任命する企業も出てきました。所有と経営の分離された大規模な上場株式会社においては、経営者の利害と株主の利害が必ずしも一致しないケースがあり、経営者が株主の利害を損なってでも自らの利害を求める行動を取るおそれがあります。
しかし、取締役会が内部出身の取締役によって占められている場合、取締役会が経営者に対して監視を行うことは事実上不可能で、経営陣を監視する任務を担うことを期待されているのが社外取締役というわけです。
社外取締役導入が利益率の改善につながるといったデータもあるようですが、日本では、社外取締役によって厳しい監視を受け、経営の自由度を封じられる経営者が導入を拒むこともあり、制度として義務化には抵抗が小さくないようです。
小説では、創業者から思いがけずに引き受けた社外取締役が、はじめは形式だけのものだったのが、思いもかけないことから社長に担ぎ出され、株主利益を考え創業者を追い出したり、さらに権力闘争から、自分が追い出・・・主人公とともに企業の取締役会のテーブルについているような臨場感を味わいながら、コーポレートガバナンスのあり方を考えさせられました。
『社外取締役』 著者牛島信 2007年 幻冬舎文庫












