大雨・台風による冠水から命を守るために大切なことは? 

2025/09/10 (水) 16:30

日本各地に被害をもたらす台風。9月は1年を通して最も台風が上陸する時期とされています。その背景に、9月は太平洋高気圧が弱まり偏西風が南下する点。海面水温が依然として高い点があげられます。台風は海面の熱や水蒸気をエネルギー源とするため、水温が高いほど発生リスクが高まります。また、太平洋高気圧のまわりを北上する台風は偏西風に乗って日本列島に近づきやすくなります。そして気象庁は九州付近の海面水温が、平年より2〜4度高いと発表しています。

梶屋綾気象予報士
「2025年8月の台風12号は、九州のすぐ側で発生しました。九州付近の海面水温は今も平年より高いんですが、今後も高い傾向が続きそうです。この先も九州の側で台風が発生するかもしれません」

上陸しない場合も、台風から流れ込む湿った空気が前線を刺激し大雨が降る可能性もあります。こうした災害から命を守るために大切なのが「避難行動」ですがその妨げになるのが「道路の冠水」。1カ月前の大雨では線状降水帯が相次いで発生し短期間に猛烈な雨が降りました。車両のトラブルに対応するJAFでは冠水などが理由の救助要請が福岡県内で620件に上ったといいます。そんな中、注目を集めるサービスが。

はなまる 森田成亮さん
「災害発生時には被災して動かなくなった車などの買い取りをしています」

大阪に本社を置く車の買い取り・販売業者「はなまる」。水没した車などを引き取り、希望があればそのまま買い取るサービスを展開しています。先日の大雨では九州各地から2万件近くの問い合わせがありました。車内に水が入り込み座席にカビが生えていました。再び乗るのは難しい状態と言いますが買い取り価格は?

「約20万円です。エンジンルームにひどい水没の跡がないので、ハイブリッドバッテリーといったパーツはそのまま使用できると思います」

それを可能にするのが自社で運営するオークションサイト。海外向けにも展開しています。特に開発途上国で日本車の需要は高く部品だけでも買い手はつくということです。続いて道路が冠水した時に、車のトラブルを避けるために気を付けることは?

JAF福岡支部 緒方将さん
「大雨の知識を備えて理解した上で運転に当たってほしいです」

車両整備のプロに注意点を聞きます。まずは天気予報のチェック。台風・大雨は、地震と違い接近、上陸前に把握できます。自宅周辺や行き先の天候確認が第一歩です。続いて早めに避難場所、避難ルートを確認すること。日頃から家族で災害時の対応を話し合っておくことやハザードマップをチェックすれば冠水しやすい箇所も把握でき安全な避難につながります。3つ目はアンダーパスに注意。周辺より低くなった場所は冠水のリスクが高まります。2023年の大雨では太宰府市のアンダーパスで死亡事故が発生しました。さらに。

「冠水路はむやみに進まないことです。タイヤの半分・車体の床面まで水が来ると危険なラインです」

JAFの実験では、水深60センチほどの状況で車は動かなくなっています。水が濁り見た目で深さが分からないこともあるのでまずは侵入しないことが大切です。こちらは水没した場合を想定した車のドア。男性記者が開けようとしますが。

記者
「結構力を入れているが全然開かないです」

JAF福岡支部 緒方将さん
「水深60センチに車がつかった想定をしています。ここまでつかると人の力で開けるのは難しいです。水圧は車内と車外の水の高さの差で生まれます。徐々に車内に浸水していくのを待って車内と車外の水位が同じになったときに力を入れて脱出します」

そして、5つ目の注意点。「命を守る行動」をとるために備えてほしいというのが
「ガラス割りハンマー」です。これで窓をたたくと簡単にガラスを割ることができます。

「ドライバーの手が届く場所に備えて万が一の時はガラスを割って脱出します」

そして、水が引いた後にも注意点が。

「エンジンは絶対にかけないでください。エンジンをかけるとエンジン自体の破損、配線の腐食、最悪の場合は発火・車両火災につながるリスクもあります」

今まで見てきたこちらの5つの注意点。頭文字を並べてみると

「冠水時、命を守る5箇条『て・は・あ・か・い』」

合言葉の「てはあかい」万が一に備えて覚えておきましょう。

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