動物保護活動で不登校予防 地域の輪広がる

2025/12/10 (水) 16:30[2025/12/11 (木) 10:56 更新]

「保護されたネコなど動物の世話を通じて子どもが学校に来るきっかけをつくる」そんな不登校予防に取り組む学校に半年間、密着取材しました。取り組みを通して変わったのは子どもたちだけでありません。地域とのつながりにも変化が生まれていました。

2025年9月。ここは八女市にある小中一貫の義務教育学校みさき学園。学校イチの人気者、生後3カ月の猫・とらちゃん。猛暑の中、佐賀県の駐車場に捨てられていたところを保護され、9月からこの学校で新しい家族を待っています。世話をする生徒の横でポスター作りに取り組む子どもの姿も。

児童
「いい飼い主さんに1秒でも早くとらちゃんを届けるためです」

動物の世話だけではなく教育の一環として自身の手で里親に譲渡するまでを体験します。これより前にも子どもたちは保護犬の世話や譲渡を経験していました。引き取ってくれる人が現れ、お別れをした経験があるからこそ今回のとらちゃんにも愛情をたっぷり注いでいます。この活動を発案したのは教頭の大塚さん。とらちゃんの、夜や休日の世話も担っていますがその負担は重く1人では限界があります。

大塚さん
「持続可能ではありません。おそらく私が異動して他の中学校に行ったらできないです。跡を継いでうんぬんとはならないです」

このままでは続けられない。そんな大塚さんの懸念を払拭するような出来事が。

2025年10月。学校の取り組みに共感した地域の住人が子猫を連れて訪れたのです。こちらは藤山さんが飼うジジちゃん2カ月です。

藤山さん
「ジジちゃんがとらちゃんと仲良くなってくれたらとらちゃんをうちに連れて帰って夜面倒を見ることができます」

とらちゃんとジジちゃんの初対面です。とらちゃんは興味津々。ジジちゃんは少し緊張気味です。

教頭
「もうそろそろ生徒が来ると思うので逃げだしだけ注意していただいて」

藤山さんは子どもたちが世話をする様子の見守りも引き受けてくれました。

さらにこの日、児童の保護者からも夜間の世話を手伝いたいという申し出が。とらちゃん、初めてのお泊まりです。泊まる家には子猫が住んでいました。

保護者
「学校自体で取り組んでいるのがすごいこと。うちにできることがあるならやりたいです」

取り組みの輪が地域にも広がり始めていました。

とらちゃんに会いたいなどの理由がきっかけで、学校に来られるようになったという児童・生徒は6人にも増えました。

そしてとらちゃんが来て3カ月、ついに里親を希望する家族が現れたのです。代表の子どもたちが面会に臨みます。先月、学校が主催するイベントで実施したとらちゃんのための譲渡会。そこに訪れていた家族です。子どもたちは話を聞き心を決めました。別れを惜しむ子どもたち。

児童
「とらが来たときから部活も頑張れていたしいつもお世話の日が楽しみになっていました」

世話にやりがいを感じていた子どもは。
児童「お小遣いでたくさん猫のおやつを買ってあげて、愛情がたくさんありますしいなくなると悲しいですね。いじめのないような感じで暮らしていけるといいです」

とらちゃんのいなくなった部屋を片付ける大塚さん。同時に次の保護動物を迎える準備も進めています。

大塚さん
「保護する人間としては殺処分が減ってほしい。教育する人間としてはそういう現実を知って育ってほしい。人の命も動物の命も大事にできるようなそして動物に癒やしがあることも感じてほしい」

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