虐待を受けた犬 子どもの心癒やす 不登校予防の取り組み密着

2026/03/11 (水) 16:30

「保護されたイヌやネコの世話を通して子どもたちの居場所をつくる」。そんな不登校予防に取り組む学校が八女市にあります。子どもたちに少しずつ変化が生まれていました。

八女市にある小中一貫の義務教育学校みさき学園。今年1月、みさき学園にやってきた保護犬のゴンちゃん6歳。子どもたちに囲まれ穏やかに過ごしています。みさき学園では去年6月から保護されたイヌやネコを預かり子どもたちが世話をしながら里親探しから譲渡まで関わる取り組みを続けています。発案したのは教頭の大塚さん。長年、保護活動に携わってきた経験を生かし、子どもたちに命の大切さを伝えています。

大塚さん
「人の命も動物の命も大事にできるような、そして動物に癒やしがあることを感じてほしいです」

取材したこの日、子どもたちは現在、保護しているゴンちゃんの生い立ちを教えてくれました。

児童
「ゴンちゃんが子犬の頃、1歳半くらいまで飼い主から虐待を受けていました。ある日、ゴンちゃんは首つりの状態で死にかけていました。見かねた近所の人が、ある獣医さんのところに連れて行きました。困った獣医師は犬の保護団体に相談し、弁護士さんにお願いして裁判をしました。最初の治療から半年後、獣医師の家の子になりました」

それから数カ月後、獣医師は病気のため亡くなりゴンちゃんをみさき学園で保護することになったそうです。

午前10時。ゴンちゃんの部屋に女子生徒のKさんが入ってきました。Kさんは朝起きられない状態が続く起立性調節障害と呼ばれる症状を抱えています。自律神経の不調などが関係するとされていて、立ちくらみやめまいも起きるといいます。Kさんはこの症状のため学校から足が遠のきがちでしたがゴンちゃんが来てから少しずつ登校できるようになりました。

Kさん
「ゴンちゃんが来る前は学校自体が嫌で行く理由がみつからなかったたが、ゴンちゃんが来てからは、とりあえずゴンちゃんに会いにいこうと思えるようになりました」

ゴンちゃんと一緒にKさんが向かった先は図書室。Kさんが本を選んでいる間、ゴンちゃんはそばで静かに待っていました。

つらい経験を持つゴンちゃんは人の心を癒やす存在だと図書室の教員は話します。

図書室の教員
「いつかゴンちゃんが来ていたときに偶然子どもたちも来ていたのだが、その場の空気がいつもとは違う。優しい気持ちになります」

起立性調節障害は思春期の子どもの5〜10%に見られるといわれ、不登校の要因の一つとも指摘されています。見た目では体調不良が分かりにくく周囲に理解されないこともあります。その起立性調節障害とはどのような症状なのでしょうか。専門の医師に聞きました。

みらいクリニック 今井一彰院長
「心の病気ではない。体の病気なんだけれども体のどこが悪いかというと難しい。見た目にはなんともない状態が続いている。本人も学校に行きたいがやる気が出ないことに苦しんでいる。そこを理解してあげることがとても大切」

また、治療には時間がかかり生活習慣を整えることが大切だと言います。

「絶対的にこれをしたらいいという治療法はない。まずは生活習慣を変えていくというのが治療のはじめになる。同級生からお昼から登校すると給食食べに来ただけじゃないかと言われることもあるが、とりあえず行けるのであれば足を向けてほしい、登校してほしいと言っている。それは非常に大事な視点」

子どもたちが学校に足を向けるきっかけづくりで始めたイヌやネコの保護活動。ゴンちゃんに会うために、少しずつ登校できるようになった児童生徒は6人に上ります。動物を思いやる気持ちがこれまでの自分に少しだけ力を与えているのかもしれません。

Kさん
「ゴンちゃんは心を和らげてくれる存在。朝は起きるのが難しいがゴンちゃんが来てから気持ちの変化もあって、朝起きても学校に行きたくないと思っていたが、朝起きたら準備していこうと思えるようになりました」

大塚さん
「睡眠のリズムが安定しない子どもたちは、学校に出てくることによってリズムを整えることがまず大事なので、なんかモチベーションになるものが学校にあるということに一定の効果は感じているところです」

この記事をシェア

最新のニュース

  • テレQ|テレQ ニュースPLUS
  • テレQ投稿BOX
  • アナウンサーズ公式Xはこちら
  • テレビ東京|[WBS]ワールドビジネスサテライト
  • テレビ東京|Newsモーニングサテライト
  • テレビ東京|昼サテ
  • テレビ東京|ゆうがたサテライト