【LBS】3Dプリンター×鉄道 業界も熱視線のワケは?

2025/04/18 (金) 16:30[2025/04/23 (水) 10:42 更新]

和歌山県にある「初島駅(はつしまえき)」。JR紀勢本線の無人駅です。深夜の駅前には大勢の近隣住民が…

住民
「『世界で初めて』って聞いて。明日どうなっているか想像できない」

終電を見送るやいなや・・・

JR西日本の担当者
「始発までの6時間で駅舎の建設を行います」

巨大なコンクリートをクレーンで吊り、決められた位置に丁寧に置いていきます。それを繰り返していくと、外壁が組み上がってきました。壁の表面は、モルタルの畝(うね)が特徴的です。

JR西日本施設部 仲摩裕加さん
「3Dプリンターで出力しました」

世界初「3Dプリンターでつくる駅舎」です。その3週間前、熊本県、水俣市。ある工場に、JR西日本のチームがいました。動いていたのは大きなアーム。プログラム通り規則正しく動いて、モルタルを何層にも重ねていきます。

セレンディクス 飯田國大COO
「いま駅舎の壁の部分の出力」

製造するのは「3Dプリンター住宅」を手掛ける「セレンディクス」。1つ1つ異なるデザインの住宅を、短期間で施工することで安く提供するスタートアップです。JR西日本はそうした特徴に着目。まず「安さ」。通常の建て替えの半分ですみます。終電から始発までに建てられる「早さ」も必要です。ただ、プレハブでもできそうですが…

JR西日本施設部 礒川健太郎課長
「3Dプリンターは造形が自由にできるので、特徴あるデザインが作れるうえ、既製品のような現場工期の縮減が図れます。いいとこどりができます」

地域性に合わせ、一駅一駅異なるデザインで安く、早くつくるにはこれが最適だと言います。JR西日本は、沿線の人口減少などにより、17本の赤字路線を抱えています。

「(全部で)1200程の駅があって、旧耐震設計の年代の駅舎は、そのうち数百あります」

駅舎の更新はまったなし。年間10棟近いペースで建て替えを進めています。

日本経済新聞社 田村修吾記者
「現地で取材していると、大手私鉄の社員も見学に来ていて、業界内での注目が非常に高いです。特に鉄道事業者では、ローカル線の維持が大きな課題で、JR各社ではローカル線区が4割を占めます。3Dプリンターの活用が、こうしたインフラの維持を助けるひとつの糸口になるかもしれません」

ふたたびJR初島駅の建て替え現場。午前2時すぎ、最後は、天井部分をのせて完了。「始発までに」どころか、2時間で施工を済ませました。今後、部材同士の接合や内装工事などを行い、7月頃に新駅舎の利用を始める予定です。

JR西日本施設部 礒川健太郎課長
「生産性を上げていく必要がある。鉄道を維持するための一つの方策として『3Dプリンター駅舎』を今後も活用したいです」

この記事をシェア

最新のニュース

  • テレQ|テレQ ニュースPLUS
  • テレQ投稿BOX
  • アナウンサーズ公式Xはこちら
  • テレビ東京|[WBS]ワールドビジネスサテライト
  • テレビ東京|Newsモーニングサテライト
  • テレビ東京|昼サテ
  • テレビ東京|ゆうがたサテライト