【LBS】尿からがんリスクを早期発見

2025/04/21 (月) 16:30

箱を開けると…検尿キット。価格はおよそ7万円。採った尿を郵送すると、自宅にいながら7つのがんのリスクを調べることができます。作ったのは名古屋大学発のスタートアップ、クライフ。大学の構内にある研究室に入ると…

クライク中部検査センター 坪井智子センター長
「これは尿になります。一日100人分送られてきます。まず尿の中のマイクロRNAを集める作業をします。」

記者
「マイクロRNAとは?」

坪井智子センター長
「マイクロRNAというのは細胞どおしがやりとりするメールのような役割をしています」

つまり、がん細胞が生まれたときの「やりとり」を見つけることができれば、がんの早期発見も可能。そのマイクロRNAを尿から取り出す技術を発見した安井孝雄教授と小野瀬社長が共同で設立したのがクライフです。

クライク 小野瀬隆一社長
「(がん検診の)大きなハードルとなっているのが時間がない面倒くさい。自宅で採尿だけでできるのはすごくハードルが下がります」

尿から取り出したマイクロRNAを人工知能で解析します。判定の精度は90%以上。この方法による検査の実用化は、世界初です。

記者
「がんリスクが高いという結果がでたらがんになったと思ったほうがいいですか?」

坪井センター長
「可能性があるということで、これをきっかけにリスクが高い人は病院にいって検査を受けてほしいです」

肺がんの死亡率が全国ワーストの北海道。そこでクライフは北海道大学と共同で北海道岩内町の住民など100人に無償で検査を実施しました。目的は検診率のアップです。

北海道大学病院呼吸器外科 加藤達哉教授
「検診率の低さもワーストで、これを改善しない限りは死亡率の改善につながりません」

実際に参加者1人から肺がんがみつかりました。ただステージはゼロ。本当に初期の段階でした。

「こういった方はとればなおる。1時間ぐらいの手術」

そして今、狙いを定めているのが…

小野瀬社長
「ガン自体が大きな社会問題だがその中でもっとも課題が深いのがすい臓がん」

すい臓がんによる死者の数を見ますと、種類別では胃がんを抜いて3位。問題は、早期発見が難しいことだと専門家は話します。

名古屋大学大学院消化器内科学 川嶋啓揮教授
「肺がんとか胃がんは胃カメラとかCTの検査で早期に見つけることができるが、すい臓がんは早期に効率的に見つける検査方法がありません」

マイクロRNAを解析すればすい臓がんの早期発見も可能。この技術は企業や投資家などからも評価され、62億円の資金調達に成功しました。出資した企業のひとつは。

豊田合成新価値創出・マーケティング室 竹澤匡基室長
「身近な人ががんにかかるのはどこにでもおこる。今後の成長が見込めるので出資しました」

小野瀬社長
「日本、アメリカ、世界中でがんが劇的に早く見つかってがんでなくなる人を大きく減らしていくことが我々が目指すところです」

日本経済新聞社ビジネス報道ユニット 門岡春花記者
「問題は7万円という価格。企業が福利厚生の一環として費用を負担する動きも出始めているほか、すい臓がんに限っては薬事承認を申請していて保険が適用されるようになるとさらに普及が加速するのではと期待されています」

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