【おこめ券】福岡県内の自治体でも対応さまざま

2025/12/17 (水) 16:30

高市総理大臣が、力を入れる「物価高対策」。そのうち、国が食料品高騰への支援策として自治体に配布を促しているのが、コメを買うのに使える「おこめ券」です。昨今のコメ高騰を受けての対策でしたが、これにさまざまな意見が。

北九州市 武内和久市長
「おこめ券は時間・手数料がかさみます。市民に届く額が相対的に低くなるから採用しないです」
福岡市 高島宗一郎市長
「物価高はコメだけではなくたくさんの物がある中で、なぜコメだけにターゲットを絞って、特別にそこだけ券を発行して対策するのか」

12月に入り福岡市、北九州市がおこめ券は配布しないと発表。国は物価高対策として、地方への交付金を増やしていてその使い道に1人当たり3000円相当の「おこめ券」の配布を勧めています。ただ、福岡市や北九州市のように配布しない自治体が相次ぐなど、県内で配るのを決めた自治体はいまだありません。一体何が起きているのでしょうか。

そもそも「おこめ券」とはJA全農やコメ卸の中央組織「全米販」が発行している金券。1枚500円で440円分の米を買うことができます。あれ、60円はどこへ?と思った方。実はこの60円は印刷費や配送費などの手数料。つまり“1枚発行するごとに60円分のロス”が発生するワケです。ここを追及したのが福岡市の高島市長。

「国民に500円配るのに、1割以上の60円がすでに手数料がかっています。そのコストに対しては国として、問題意識をぜひ持っていただきたいなと思います。その60円は国民の税金です」

このほか、配布に時間がかかることなども指摘されています。そんな中、福岡市はおこめ券ではなく2カ月分の下水道料金を無料にしました。1世帯当たり平均で3350円の負担軽減になるとしています。北九州市は、住民税非課税世帯への現金給付や、市内の店で使えるプレミアム付き商品券の発行支援などに取り組むとしました。さらに17日、久留米市議会で補正予算が成立。市民1人当たり3000円を給付し18歳以下の子どもにはさらに1人当たり2万円を給付します。敬遠される「おこめ券」。ただ、少し前から、今回とは別で配布している自治体もあります。太宰府市の楠田市長。太宰府市では石破政権時代に交付金を活用して、高校生世代以下の子ども1人当たり3000円分のおこめ券を配布。1月をめどに配り終える予定です。

太宰府市 楠田大蔵市長
Q.なぜおこめ券を選びましたか
「米価について関心が高まっていました。コメは日本の主食で子どもの育ちに重要です」
「日本の自給力を保つ意味ではコメが基本です。コメをもう一度クローズアップしてほしいという重要な意味合いもあり選択しました」

他の自治体が指摘する「手数料」については受け取る市民にとっては大きな額ではないとしました。配布するための労力はどうだったのでしょうか?

「郵送事業者に任せている部分もあります。比較的スムーズに配れています」

対象を子どもに絞ったため、労力も時間もそれほどかからなかったと言います。ただ、今回のおこめ券に至っては関係団体への利益誘導ではないかとの声もあり、楠田市長も国の方針に疑問を呈しました。

「国で方向だけを決めてお金を出して、あとの選択・やり方を丸投げされてきたことに対して地方の“不満のマグマ”がたまっていることは間違いないです。政治的なつながりで「おこめ券」を選択しているのではという疑惑に対する説明が足りていないです」

各自治体が物価高支援で知恵を絞る一方、生活者は何を支持するのか。福岡市で50人に聞いてみました。

街の人
「コメが高いです。5000円くらいします。おこめ券もらえるとうれしいです」
「スポーツをやっていておなか減るので食費がかさみます。おこめ券がいいです」
「使い道が限定されます。人それぞれ困っているところがあると思います」
「下水道料無料はありがたいです。(コメを)食べない人はいても、トイレ流さない人はいないです。平等と思います」

結果は、おこめ券は学生や子育て世代からは広く支持された一方、そのほかの対策を講じてほしいと言う声が多数を占めました。「その他」と答えた人のうち最も多かったのが下水道料金無料を支持する声。必ず使うもので負担を減らしてほしいという声が多く聞かれました。依然続く物価高。迅速で効果的な家計支援が求められます。

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