【LBS】給食センター軸に「食インフラ」形成

2025/12/19 (金) 16:30

北海道の留萌小学校。楽しみにしている児童も多い学校給食ですが、留萌市では存続の危機に立たされていました。

留萌市の学校給食を集中調理する「給食センター」。稼働を始めた1991年には1日約4000人分を調理していましたが、いまでは1000食、4分の1に減少しました。少子化と人口流出で生産能力を持て余しています。さらに建物は築30年を超え、修繕や建て替えも問題に。

留萌市教育委員会担当者
「給食センター自体を建て替えるとなると、2023年度の試算で約20億円程度がかかると見込んでいました。子どもが減少するなか巨額の投資なので進まなかったです」

学校給食の維持は全国的な課題です。自治体が担ってきましたが、少子化や食材費の高騰で採算が悪化。民間委託を進める自治体が増えています。

ただ、留萌市のように過疎化が進む地域では採算の確保が難しく、民間の引き受け手探しに苦労しています。留萌市の給食センター引き受けに名乗りをあげたのがコープさっぽろ。コープさっぽろは今年3月、1億5000万円で留萌市から給食センターの建物と土地を購入。年間1億円で留萌市の給食事業を担う契約を結びました。コープさっぽろが学校に食事を提供する事業を始めたのは2021年から。現在、留萌市のほか長万部町、様似町など5市町村で事業を展開しています。

学校給食の事業拡大には、どんな狙いが。

コープさっぽろ 島田工場長
「給食スクールランチを中心に拡大という形の基本のベースは変わらないんですけれど。高齢者施設のお弁当や幼稚園給食も増やして売り上げを拡大していくような計画です」

コープさっぽろは買収した給食センターを、学校給食だけではなく周辺地域の高齢者施設、病院、企業の給食・弁当生産にも活用します。給食センターの稼働率を上げることで、採算の確保を図ります。

コープさっぽろは同じビジネスモデルで成功した実績があります。帯広や旭川、函館の工場では、学校、保育施設、高齢者施設などの食事を作って配送。配食事業の売上高は右肩上がり、2024年度は134億円で、4年前に比べ4割以上増えました。コープさっぽろの経営トップは。

「食のインフラを支えてあげるみたいな役割になるかなというふうに思っています。いろんな施設でも給食を作る人がいなくて困っているというところでは、そこが一つのハブになってセンター機能を持って対応するということはできます」

コープさっぽろは、北海道の全世帯の8割が加入。離島を含めた道内の隅々にまで配送ルートを張り巡らせています。北海道全域をカバーする生産・物流網を生かして「地域の食のセンター」となり、行政や民間が撤退した分野に事業を広げていく戦略です。コープさっぽろは、北海道内の給食センターの約4割、90カ所ほどが建て替えの時期を迎えているとしていて、学校給食を安定的な需要が見込めるビジネスとみています。

日経記者の目
「学校給食をめぐっては、行政コストを抑えながらどう給食を提供していくかは地方部を中心とした全国的な課題で、コープさっぽろの取り組みは一つの解決策として注目度が増しそうです」

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