親子で防災士の資格取得 「防災を身近なものに」テーマに活動

2025/09/17 (水) 16:30

防災士という民間の資格を持つ親子、地域の防災や災害時のリーダーとしての役割を担っています。災害が多発する中、地域でどんなことをしているのでしょうか。

福岡市で開かれた防災イベント。「子供たちが遊びながら防災を学ぶ」をテーマに2025年に初めて実施されました。イベントでは火災を想定し、煙が充満したトンネルを駆け抜けたり、新聞紙でスリッパを作ったりするほか、消火器を使って放水するといった実践的なブースが設けられていました。

参加した子ども
「家でお父さんやお母さんにも教えてあげようと思いました」

イベントブースを開いている母親の因幡那水さんと中学3年生の娘の沢さん。2人は親子で防災士の資格を取得しました。

8月、このイベントに向け準備をしていた那水さんと沢さん。名前やアレルギーといった個人情報を記載し、周りに知らせる「AID+(エイド)カード」を作るブースを開きます。

母・那水さん
「子どもたちが、自分たちと一緒にいないときに災害に遭ったときに、小さい子どもでもとっさに身を守れるようなことを伝えたいというのがきっかけです」

2人は幼稚園の母の会のメンバーで、結成された防災サークル、「Haha+AID(ハハエイド)」に参加し、普段の生活に防災を組み込む「せいかつ防災」の普及に取り組んでいます。「AID+カード」もその1つです。

母親の那水さんは2017年に防災士の資格を取得。きっかけは、重度の肢体不自由と知的障害が重複した「重症心身障害」がある高校2年生の長女、烈さんの存在です。

「障害をもった娘がいざ災害が起きたときに、どういう風な守っていく仕組みがあるかを知りたく防災士を取得しました」

防災士として活動する中で、地域の人との交流も増えたという那水さん。防災は命を守るため、全世代共通の話題と訴えています。そして2024年、那水さんに誘われて娘の沢さんも防災士になりました。

Q.勉強は難しかったですか
娘・沢さん
「難しかったです。普段なら気にしないささいなこともあり、覚えることが多かったです」

こう話しながらも試験は満点で合格したそうです。

サークルのメンバー
「(沢さんは若いから)感覚が全然違います」
母・那水さん
「(娘に)シビアなことも言われます。『あまり押しつけるような表現はよくない』とか」

沢さんのように、若い世代が防災士の資格を取得するケースは増えています。防災士の全体の数に占める10代の取得者の割合は2014年度で2.5%だったのに対し、2024年度で8.5パーセントと増加傾向にあります。

日本防災士機構総務課 中野篤課長
「実際に被災する確率が上がるのは、若い世代です」
「中高生や小学生が大人になったときの方が厳しい環境になることも十分ありえます。若い世代が防災を学んでおくことは非常に大切です」

イベントは親子連れで盛況。子どもたちはエイドカードに自分の情報を書くだけでなく、顔写真を撮ったり、好きな装飾をしたりして楽しみながら防災に触れていました。

母・那水さん
「堅く大きく構えず、きょう1日の取り組みが未来をつくるというイメージでやってもらえたらと思います」

娘・沢さん
「子供に防災に関わることを楽しんでもらい、それを見た親も『こういう感じでいいんだ』と防災のイメージを緩く捉えられるようになったらいいなと思います」

家族や地域の住民が一つになるきっかけでもある防災。防災士は地域での自分の生活と照らし合わせながら、災害時の行動のポイントを発信し続けています。

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