まもなく人口９０万人割れ　地域を盛り上げる北九州市の戦略は｜ニュース｜テレQ

まもなく人口９０万人割れ　地域を盛り上げる北九州市の戦略は

2025/10/02 (木) 16:30

北九州市の人口は１９７９年の１０６万８千人をピークに減少が続いています。２００５年に１００万人を割り、２０２５年９月１日時点の人口は推計９０万４９４人。９０万人割れがすぐ目の前に迫る状況です。果たして１０月１日時点の人口は、９０万人をキープできたのか？そして人口減社会と向き合う北九州市の戦略に迫ります。

記者
「北九州市の人口、どのくらいだか知っていますか？」
市民
「１００万人くらいじゃないですか」
「１００万都市でなくなったのは聞いている」
「９６万人？」
「でも少し増えているんでしょ。いま」
「９５万人？９４万人？」
記者
「９０万人です」
市民
「減ったなあ」
「えー、そうなんですか」
「さみしいね。昔は１００万人を超えていた」

１０月１日時点の北九州市の人口は推計９０万４９４人にまで減少。全国に２０ある政令市の中で最も高齢化率が高く、市民の３人に１人が６５歳以上です。産業構造や人口の動きに詳しい専門家は。

北九州市立大学・畔津教授
「製鉄業が衰退するにしたがって徐々に人口が減少していった。雇用の場が失われた
ことが（人口減少の）大きな原因。２０４０年から２０４５年にかけて人口８０万人を切ると予測されている。人口減少下において、どのように北九州市の経済を活発にさせていくかを検討する必要がある」

北九州市が今、積極的に取り組むのが「学生や若者の地元就職」、そして「観光客呼び込み」による賑わいの創出です。近年、市内にある大学の卒業生が地元に就職する割合は２割ほどに留まり、多くの若者が流出しています。こうしたなか北九州市は
人口と働き手の流出を食い止めようと、地元の学生と企業を結ぶイベントを積極的に開催。９月には、企業と大学生が運動会で交流する就職活動フェアを開きました。

北九州市雇用・産業人材政策課　小路憲昭さん
「大学の地元就職率が２割程度で推移しているので、人口減少が続く北九州市において自分たちは何ができるのかというのもテーマで、学生と企業の交流を深めていただいて、将来的には就職に結びつく取り組みを実施している」

人材定着のほか他の地域からの呼び込みにも力を入れ、Ｕターン・Ｉターンの就職者数は２０２４年度、過去最多を記録しました。続いては観光。北九州市を訪れる宿泊客のおよそ７割はビジネス目的です。そこで、出張客に特化した情報冊子「出張の歩き方」を発行し、予定の前日から宿泊するいわゆる「前乗り」をアピール。

さらに、名物グルメを前面に押し出す「すしの都」プロジェクトも展開。玄界灘、響灘、周防灘に囲まれた、寿司ネタの宝庫としてアピールすることで旅の目的地にしてもらう狙いです。北九州市を訪れる観光客は年間１０００万人ほどで、このうち外国人は２７万人。割合にするとわずか３％に留まり、福岡市の１２％を大きく下回っています。

すしの魅力は海を越えるのか。北九州と韓国を結ぶ航空路線の新規就航に合わせ、現地旅行代理店の担当者向けに体験ツアーを開催。すし文化に触れてもらうコースを提案しインバウンド獲得に動きます。また、人口当たりの焼き肉店の軒数が県内最多という小倉北区では、店が密集する浅香通りを「小倉焼肉通り」と命名。マップを作成し地元で愛されてきた焼き肉激戦区に観光客の目を向けさせたのです。この地で４０年以上続く焼き肉店では。

寿楽園　崔明玉社長
「最近は旅行の人がよく来る。韓国・台湾・香港の方も店に来ます。小倉焼き肉通りマップがなかった時は旅行客はあまり来なかった。いまはみんなマップを持って店に来ますね」

さらなる観光需要の掘り起こしへ、次に目をつけたのは歴史的名所。小倉城庭園では、風情ある空間を楽しみながら寿司を味わえるイベントを開催したほか、週末の夜の小倉城天守閣で市内飲食事業者がカフェやバーを開く企画も好評を博しています。
さらに。

北九州市　武内市長
「お城とオペラ。これができるのは北九州市くらいですよね。いよいよお城の前でオペラが」

夜の小倉城を背景に開催されるのはオペラコンサート。プロのオペラ歌手と、合唱で参加する市民ら６０人が美声を響かせます。あの手この手で人を呼び込む北九州市。

ところで、９月１日時点ではギリギリ９０万人をキープしていましたが、１０月１日時点では９０万人をキープできたのか。市役所に問い合わせてみると意外な事実が分かりました。市役所に問い合わせたところ、現在、人口を把握するべく５年に１度の国勢調査が実施されているため、国勢調査の結果が出るまでは市の推計人口の発表は当面行わないとのことでした。とはいえ、まもなく人口９０万人を割り込むとみられる状況です。