九州北部豪雨から9年 2度被災しながらも伝統を守る窯元のいま

2026/07/06 (月) 16:30

福岡・大分で合わせて42人の死者・行方不明者を出した九州北部豪雨から9年。度重なる豪雨災害に遭いながらも伝統を守り続ける東峰村の窯元の今を取材しました。9年前、線状降水帯による大雨で土石流が発生し、3人が亡くなった東峰村です。激しい雨で村の景色は一変。道路はえぐれ、大量の流木が川を埋め尽くしました。

江戸時代から続く窯元高取焼宗家の13代目の妻・高取七絵さんです。黒田藩の御用窯として伝統を受け継ぐ高取焼。昔ながらの技法を守る独特な風合いが特徴ですが。

高取七絵さん
「もう言葉がないんです。穴窯なんです。」

9年前の豪雨では陶器を焼き上げる窯に土砂や流木が流れ込みました。

高取さん
「再興に向けて頑張っていきたいなと思います」

しかし、東峰村を再び豪雨が襲います。

高取さん
「登り窯の石垣が崩れていて屋根を支える鉄柱の下の土台が崩れて、登り窯自体のレンガが壊れてむき出しになっています」

それから3年たった今も崩れたところから水が入らないよう登り窯にはシートがかけられたまま。しかし、修復の作業は着実に進んでいるといいます。

敷地内を流れる川の護岸工事が完了し、川幅は広く、川底も深く整備されました。登り窯を支える石垣を直し、周りの木々を伐採しました。

高取さん
「登り窯を修繕しようとしたときに、修繕しても上からのしかかる木をちゃんとしないと、それが倒れてきたら何にもならないんです」
山崎アナ
「この状態になるのに何年かかったんですか?」
高取さん
「やっとなった感じなので、被災して足かけ8年、9年目ですね」

取材中も時折、雨脚が強くなります。

高取さん「6月の雨のとき水かさも増して雨音もすごかったんです。雷も鳴っていたし、水が流れる音がゴーゴーしてくると動悸がします」

焼き物用の土を作る唐臼。ここにも大雨の対策が。

高取さん
「雨の時はこうやって止めています。以前は頭が下がるような状態で止めていたんですが、増水したときに川の水の流れで(柄の)頭が流されてしまうんです」

豪雨で壊れた唐臼はクラウドファンディングで支援を募るなどして修復。大雨で増水した川に流された経験から、固定する方法を変えました。

高取さん
「やっぱりせっかく直したものですし、昔ながらの技法を守るのは難しいけれど、伝統の中で守り続けたものを受け継いでいきたいと思っています」

いま、焼き物づくりに欠かせないのが豪雨の後で作った窯です。使い込んだ証しが見える窯のそばには、支援してくれた人たちの名前が記されてます。

山崎アナ
「この9年を振り返るとどうですか?」
高取さん
「9年間。10年一昔というが、もう9年もたったのかと思います。1日1日が本当につらくて夜も眠れない日もありました。(東峰村の)被災仲間がいて、気持ちを重ねながら頑張っていこうと思えたのが大きかったと思います」

七絵さんは2025年から被災した仲間とマルシェを開き、東峰村の特産物をPRしています。

高取さん
「全国各地に災害で被災した人がいるけど諦めないでほしい。1人じゃないというのを発信できたらと思います。」

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