免許返納 したくでもできない高齢者たち 買い物や通院など

2026/07/01 (水) 16:30

映画「免許返納!?」は、俳優の舘ひろしさん演じる70歳のアクションスターが自身のとある発言で世間の誤解を生み、免許返納を迫られることになるというストーリー。免許返納は受け入れない高齢者も多く、意見が分かれるテーマ。実際、どれほど進んでいるのでしょうか。

ここ10年の福岡県の免許返納数は、高齢ドライバーによる池袋暴走事故があった2019年をピークに減少しています。

一方、2026年はマイクロバスでも、高齢ドライバーによる交通死亡事故が発生。福岡県では高齢ドライバーの事故による今年の死者数が5月末の時点で10人に上ります。なぜ免許返納は難しいのでしょうか。

78歳男性
「生活がやっぱりありますから。実際買い物に行ったり病院に行ったりとか。今すぐ辞めるというのはちょっと難しいかもしれませんね」

警官
「ゆっくりでいいのでクランク脱輪しないように行きましょう」

こちらは、高齢者向けの安全運転の講習。福岡県警とJAFが田川市や直方市の高齢者を対象に実施しました。目の見えづらさや判断の遅れなどを本人に気づいてもらう狙いがあります。

実技では、教習所内のコースを1周します。先ほどの男性は、ミスなく走り終えました。

78歳男性
「やっぱり車は必要。まだちょっとだけは乗らせてもらいたい」
「公共交通機関は時間が合わず便数も少ない」

2023年の内閣府の調査によりますと、免許を自主返納しない理由として「日常生活での移動に支障が生じる」と答えた人の割合は、人口が少ない町や村で最も高く、東京都内など大都市の2倍以上でした。人口が少ない地域は公共交通が少なく、車を手放しづらいようです。

小郡市の団地で一人暮らしをしている田中 安枝さん(仮名)。現在89歳です。

田中安枝さん(仮名)
「8月になったら90歳」

この日は近くのショッピングセンターに車で買い物に行きます。

実は田中さん、3年ほど前、車検を機に一度車を手放しました。しかし。

「とにかく不自由だった。買い物とか気晴らしもできないし寂しいし」

身分証として免許証を持ち続けていたこともあり、半年後、再び車に乗り始めました。

田中さんは去年、 関節リウマチを発症。手足の関節が腫れ、歩くことすらままならない日もあり、普段の生活に車は欠かせません。
 
「節々が痛い。病院に行っています。もう車がなければ行けない」

その理由は。

「バスは走っていない。ここまでタクシーで来てタクシーで帰ったら往復1000円以上かかる」

田中さんが住む小郡市には、スマホアプリで呼ぶ、乗り合いバスがあります。時間と行き先を指定でき、田中さんも以前は利用していました。しかし。

「便利だけど乗り合いだからね。病院とか時間の予約があるときは不安」

こうした生活交通の課題について専門家は。

高齢者の交通事情に詳しい九州大学大学院 大枝良直准教授
Q.乗り合いバスについて
「いろんな人たちが希望の時間を全部言うから、それが個人個人にとってベストな状況にはならない。自治体の方はくまなく交通が使えるような形にしたいという考えでやっていると思う。ただそれがすごく便利がいいかというと、そうではない」

結局、自家用車が一番便利という結論に至ると言います。

田中さんの運転について、東京に住む次女に電話で話を聞きました。

田中さんの次女
「もちろん心配がないということはないし、やっぱり不安はあるが、東京とは全く事情が違う」

運転の現実と向き合い、田中さんが出した当面の結論は。

「2027年の9月まで(免許の期限が)あるからその時にどうしようかなと思っている。それまでは乗ります」

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