手作り「レトルトカレー」を親元離れた我が子に 「食」でつなぐ家族の絆

2025/11/19 (水) 16:30

大分在住の真実さん(44)。この春、東京で就職し今は離れて暮らす我が子のためにカレーを作っていました。

母・真実さん
「(息子は)小さいときから甘口を食べたことがないです。うちはずっと中辛です」

真実さんが参加したのは「うちのカレープロジェクト」。その内容は
1.届けたい家族のためにカレーを作って、冷凍
2.これを加工会社に送りレトルトカレーに
3.あとはパッケージにメッセージを書き入れ郵送するという流れです。
企画したのは社会課題の解決に関心を持つ九州産業大学の伊藤教授。

九州産業大学 伊藤敬生教授
「ビデオ通話などで顔を見ながら簡単に話すことができるようになったが料理はシェアできないです。遠く離れた場所で同じ料理を食べれば食卓を囲むシーンを想像できます」

母・真実さん
「うちは牛肉ではなく豚肉です。カレーに入れるとうまみが出ます」

普段通り、「我が家の味」に仕上げていきます。息子の楓斗さんは九産大の大学院を卒業。親元を離れるのは初めてのことです。息子のためのカレー作り、苦労したのは。

「相当苦労した。3日間でこの1杯だけです」

趣味の釣りでゲットした大きな「イカ」を具材に。

「頑張ってやれば捕れました。なんでも諦めずに頑張ってほしいです。おいしいです。向こうでもたくさんの友達をつくってというメッセージを込めました」

母の思いが詰まったカレーは柳川市で水産加工などを手がける企業「やまひら」のもとへ。企画者の伊藤教授がレトルト技術を持つこの会社の社長に「食で家族をつなぐ」という理念を伝え、プロジェクトへの参加を呼びかけたのです。

九州産業大学 伊藤敬生教授
「(やまひらは)大量生産・少量生産(の両方)で商売をしています。今回は小ロットだがダメ元で聞いてみました」
やまひら 金子英典社長
「(普段は)商品を作って不特定多数に販売しているが、今回のプロジェクトは客の顔がしっかり見えます。個別に対応するのは非常に面白く、やってみたかったです」

やまひらは、少量でもレトルト化できる機械を備えていて、家庭のカレーを扱う今回のプロジェクトにマッチしました。カレーを入れたパックを真空状態にしたのち加熱殺菌。1時間半ほどで「夢のレトルトカレー」が完成です。カレーは再び母、真美さんのもとへ。

「これはイカかな。ちゃんと入っています」

仕上げに、心のこもったメッセージを書き入れます。

メッセージ
「ちゃんとご飯食べとる?かーちゃんのカレーがレトルトにできるの凄いよね。しっかり食べんしゃい」
Q.どうして博多弁ですか
「福岡・博多弁を忘れていないかなと」

こうして「母の味レトルトカレー」が完成。仕事で多忙な日々を送る楓斗さんのもとに届きました。

息子・楓斗さん
「うまい。イカめっちゃ柔らかいです。開けた瞬間海鮮の香りがしました。食べたらすごくおいしくて「いつものカレー」だなと。家で食べる味で実家を思い出す感じでした」

母の真美さんにもカレーを食べる様子を見てもらいました。

母・真実さん
「いつもの感じです!」

おいしく味わう我が子の姿に笑みがこぼれます。とここで!息子・楓斗さんからサプライズ。お返しとして手作りのレトルトカレーを用意したのです。

「知らなかったです。おいしい。優しい"楓斗っぽい”カレーです」

この心温まる「うちのカレープロジェクト」は2026年の春をめどに事業化。親子だけではなく大切な友人、恋人などを「食」で結ぼうとしています。

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