福岡の最低賃金「初の1000円超え!?」喜びも悩も・・

2025/11/13 (木) 16:30

雇う側が働く人に支払わなければならない賃金の最低額である最低賃金。2025年8月、賃金向上担当大臣を兼務する赤沢経済再生担当大臣(当時)が福岡県の服部知事を訪問し、最低賃金引き上げへの協力を求めました。閣僚が地方を直接訪ねて政治的な働きかけを行うのは異例です。

そして、福岡県の最低賃金は11月16日から、全国の目安を上回る65円引き上げられ1057円となり、初めて時給1000円を超えます。最低賃金の引き上げを街の人はどう受け止めているのでしょうか。

時給1300円の人
「最近上がりました。二つバイトをしていて、どちらもそれ(最低賃金上昇)に伴ってか上がりました」
時給1200円の人
「めっちゃいいと思う。物価も高く、上がってくれてうれしいです」
時給1050円の人
「ありがたい。実家暮らしで困ることはないですが、もう少しお金が欲しいです」
時給1000円の人
「うれしい。車を持っているとガソリン代がかかってなくなります」

働く側からは喜びの声が聞かれました。県内におけるアルバイトやパートの平均時給は、3年前に比べ150円近く上がり、今年9月時点で1144円。今回の最低賃金1057円への引き上げは、実際の賃金上昇の流れに誘導された形ともいえます。

野村総合研究所 木内登英エグゼクティブ・エコノミスト
「経済全体で物価が上がって賃金も従来より高めになっているので最低賃金が上がるのは自然の流れだと思いますが、一部の企業の経営が成り立たなくなることがありますので、引き上げをあまり無理しないことが重要です」

福岡市博多区の定食屋「まるつ食堂」。定食は一部を除き750円、ご飯のおかわりも無料で店のランチ時には多くの客でにぎわいます。

まるつ食堂 津暢彦店主
「毎日1000円の定食はなかなか食べられないと思います。ぎりぎり750円で頑張っています」

この店では10人のスタッフが働いていて、最低賃金の上昇に合わせて10月、時給を1050円から1100円に引き上げました。これまでも最低賃金の引き上げのたびに最低賃金より50円ほど高い時給を設定していたそうです。賃上げは必要なことと受け止めていますが、店では簡単なことではありません。

「売り上げが急激に上がることはないので、50円賃金が上がるのは大変厳しいです」

時給を50円引き上げたことで店の人件費は1カ月当たり約5万円増えました。スタッフ1人分に当たるそうです。また、物価高も安さを売りにするこの店の経営を圧迫しています。仕入れを工夫してコストを抑えていますが、経営の努力だけでは限界があると言います。

「仕入れ先の値上げがこたえます。コメの値上げが一番厳しい。2025年の5月に50円値上げしたばかりです。今度はうちの店が踏ん張りどころです」

最低賃金引き上げはどのような影響を及ぼすのか。今後注視していく必要がありそうです。

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