アート作品を見るだけで健康に? 新たなリラックス方法「博物館浴」とは

2025/10/09 (木) 16:30

海で泳いだり遊んだりしてリフレッシュする「海水浴」。日の光を浴びてくつろぐ「日光浴」。さらには、森の中で木々の香りなどを堪能する「森林浴」など。世の中にはリラックス効果を得るための「○○浴」があふれています。そして今注目されているのが。

九州産業大学 緒方泉特任教授
「博物館浴は博物館での作品鑑賞で人の心・体を癒やします。人々の健康増進や疾病予防に役立つ活動です」

アート作品を見ることで健康になる?そんなユニークな研究をしているのは九州産業大学の緒方さんです。

「(博物館などに)なんとなく行くと癒やされます・作品を見ると元気が出てくるといった体験はあったと思うがそれは「感想」。主観的な評価に過ぎないです。なんとなくを科学的に実証・検証できるのではと実験を始めました」

記者が体験します。研究では、鑑賞の前と後で血圧や脈拍などを測定し、その差を比べます。1回の測定で2度データを収集します。記者の結果がこちら。血圧、脈拍ともに1度目と2度目でばらつきがあるほか低血圧とされる60以下の数値も見られました。これがどう変わるのか?やって来たのは大学内にある美術館。展示されている多彩なアートを鑑賞します。そして、20分後。

記者
「鑑賞が終わりました。普段あまり触れることがないアート作品に触れて少し感情が穏やかになった気がします」

記者はそう言っていますが数値はどう変わったのか。再び測定すると血圧は60以下の「低血圧」が解消されたほかばらつきも抑えられ脈拍はリラックス効果を得られたからか数値が下がりました。

九州産業大学 緒方泉特任教授
「最初は(数値が)ぶれていたが2回目は安定しました。交感神経と副交感神経のバランスが良くなったことが数値を見ると分かります」

緒方さんはこの研究を5年前に始め、全国各地で実証実験を重ねてきました。研究が進んでいる海外ではこんな事例もあるそうです。

「実際に医療行為として処方箋に博物館と書く取り組みはカナダ・ベルギー・スイス・台湾などで始まっています」

そして9日、実証実験があったのは戸畑区の北九州市立美術館。今回が研究を始めて100施設目。節目の場所に北九州市を選んだのにはワケがありました。

「北九州市は高齢化率が3割を超えています。政令市の中でもトップです。健康寿命を増進させる場として、北九州市立美術館で実証実験をするのには大きな意味があります」

9日も参加者の多くが65歳以上でした。

参加者
「博物館浴という言葉が新い感じがしました。一体何だろうと思って参加しました」

参加者たちは、歩きながら街の景色や建物の造形美を鑑賞。20分ほどで「博物館浴」を終えました。

参加者
「気持ちが秋を感じて幸せを感じました」
「博物館浴という言葉もあって博物館にじっくり浸ればいい(と分かりました)。とても新鮮で楽しかったです」

九州産業大学 緒方泉特任教授
「今、日本は超高齢社会・ストレス社会と言われています。これまでの博物館浴の成果で自律神経の改善に影響があります。交感神経・副交感神経のバランスが良くなるといったデータが集まっています。健康の場として博物館浴を実践してほしいです」

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