課題の多い“カスハラ” 医療の現場は 

2025/10/07 (火) 16:30

「お電話ありがとうございます。牛タン遊佐 片倉でございます」

電話応対コンクールの福岡県大会。電話の接客技術を磨く目的で、保険・通販をはじめとしたコールセンターの担当者など、予選を通過した25人が出場しました。審査では初期対応やコミュニケーションスキルなどの要素を審査員が採点します。

参加者 
「電話をくださったお客様がどんなシチュエーションで使うか、食べてどんな笑顔になるかを想像しながらということを工夫しました

主催者は「大会をきっかけによりやりがいを感じてほしい」と話します。

日本電信電話ユーザ協会 福岡支部 大坪泰博 事務局長
「AIやチャットボットなど、電話の応対が人ではなくてよくなっています。でも基本は人の応対がすべてと思っています」

一方で、直面する課題も。

日本電信電話ユーザ協会 福岡支部 大坪泰博 事務局長
「カスハラという言葉を頻繁に耳にしますが、相手の立場に寄り添った対応をすることによって防げると思っています」

カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」は接客業だけでなく、さまざまな分野で社会問題となっています。カスハラとは、客や利用者が著しく妥当性を欠いた要求をすることや働く側の労働環境を害する行為のこと。

国が行った調査では「医療・福祉」の業界が最もカスハラを受けたと答えた割合が高いことが分かっています。

こちらは福岡市内のクリニック。訪問診療を中心に1200人以上の患者を診ています。

たろうクリニック 内田直樹院長
「(Q.カスハラの実態は)たくさんあります。身体的な暴力として殴られたり、蹴られるとか『こんなこともできないのか!』と暴言を受ける事もあります」

福岡県が行った調査では、在宅医療などの事業者のうち、4割近くの人が利用者から暴力やハラスメント受けた経験があると答えています。こうした問題に対し有志の医療関係者らで対策プログラムを作成し患者や従業員への周知を徹底しています。

たろうクリニック 内田直樹院長
「(患者に)サービスを提供し続けることが難しくなると契約の段階できちんと説明します。(従業員には)どういう状況で暴力やハラスメントが起きやすいのか、些細な暴力・暴言の段階で『それは困ります』とちゃんと説明しようと伝えています」

ハラスメント対策に詳しい専門家はカスハラ対策の難しさを次のように指摘します。

ハラスメントに詳しい 社会保険労務士 清成留美さん
「パワハラやセクハラは行為者も被害者も組織内の人が多いです。懲戒や指導したりできますが、カスタマーハラスメントは行為者は組織外の人、どういう措置をとれるのかが難しいです」

暴行罪や脅迫罪など違法な行為の場合は罰せられるケースもありますが、カスハラ自体を取り締まる条例はありません。例えば、飯塚市では市の職員に対するカスハラ対策として独自の条例を定めていて、カスハラをした人の氏名を公表でき、社会的制裁措置をとることで抑止する狙いです。

専門家は初期対応が重要で、クレームからカスハラに発展するケースが圧倒的に多いといいます。

ハラスメントに詳しい 社会保険労務士 清成留美さん
「初めの対応を間違うと、通常のクレームだったのにエスカレートしてカスタマーハラスメントになってきます。もし違法行為が混じっている場合は内容を記録することが大事です」

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