お盆の時期を襲った大雨災害 福岡県内で甚大な被害相次ぐ

2025/08/12 (火) 16:30

福岡県内各地に甚大な被害を出した記録的大雨。九州北部地方にある前線に暖かく湿った空気が流れこみ線状降水帯の発生が相次ぎました。宗像市では、8月12日の6時までの72時間に610ミリもの大雨を観測しました。宗像市の田熊地区の8月11日午後の様子です。大量の水が溢れ、車道が冠水している様子がわかります。水に浸かって故障し、動かなくなった車が運び出される様子も。創業およそ65年の和菓子店です。

菓子舗鼓家 中野和志さん
「こんなに水が出たほは初めてですね。ここまで水が来たんですよ。外が20センチ、中は15センチくらい水に浸かりました。もう完全に浸かりました」

水は店内の奥まで入り込み、菓子作りを行う厨房も被害を受けました。これは、浸水した当時の状況です。店の中に次々に水が流れ込み、床が全く見えないほど浸かってしまっています。さらに、9日夜、10日夕方、11日朝と3度にも渡り、水が入り込んできたというのです。

「10日は朝片付けて少し営業したらまた夕方から降りましたので、その時の雨が一番ひどかったんですけれど、それで店が開けませんでした。11日に店を開けられるかなと思ったら、さっき雨が降ってまた浸水したので3回水が店内に入りました」

帰省や墓参りの時期とあって本来1年間の中でも最も忙しいという、お盆前の連休。営業に欠かせない電気設備や、ボイラーも被害を受けました。そうした中。

Q.ご主人から依頼を受けたのですか
復旧作業をする人
「依頼っていうわけじゃないんですけれど友達の内輪で手伝おうという話になりました」
Q.業者ではなくですか
「業者じゃないです。素人です」

店主の子どもの知人らが店舗が浸水した被害状況を聞いて駆けつけ、店の復旧に向けた清掃作業を行っていました。

「友人から連絡があり、手伝おうということで他のみんなゴミ捨て行ったり、いろいろしています」

そして、一夜明けた12日。復旧作業を終えた和菓子店にオープン前にも関わらず、地元の常連客らが続々と訪れます。

客 
「お彼岸とお盆(年に)3回は必ずこの店に来ます/シャッターが半分閉まっていましたが、開いていて良かったです。(大雨の)心配ばっかりで、気を遣うことが多かったです。近所も古い店が多く」
「他県の方に行っていて、宗像に帰ってくるのも大変でした。高速道路も止まっていました。一日できれいにして、みんなが協力するのは、愛されている店なんだと思います」

朝からの大盛況に、店主もほっとした様子。

菓子舗鼓家 中野和志さん
「急いでオープンしなくてはという思いでした。10日と11日は売り上げになっていません。お盆の一番忙しい時期でした」
Q.開いてて良かったという声も多かったですが
「ありがとうございます。そんなふうに言っていただけるので頑張らなくてはいけません」

浸水被害を受けながらも地域の人たちに支えられ、老舗和菓子店は営業を再開しています。一方、宗像市に隣接する福津市では行方不明者が。10日午後5時半ごろ、「近くの川が氾濫し、60代の男女2人が流され、姿がみえなくなった」と消防や警察に通報がありました。警察などが捜索していますが、行方不明の状態が続いています。2人が流された川の、10日午後の様子を見ると、濁流が川岸を乗り越えそうな勢いで迫っているのが見て取れます。

また、川から40mほどの地点にあるコンビニエンスストアの駐車場の様子を見ると、画面奥側にある車道、そして駐車場も、完全に濁流に呑み込まれており、今回の被害の大きさを物語っています。11日に同じ現場の様子を取材すると、周辺の草木や住宅の塀がなぎ倒されていたほか、巨大な金属の柵のようなものが、流れ着いていました。

付近で店を営む人
「(流された人は)多分避難されようとしていたみたいで、一瞬で水が増えた時に、全部溢れたのがそちらの通路に流れました。その通路側の家の方なんですけれど、避難しようとして、家から出てきてご夫婦で流されたとお聞きしました」

10日午後5時ごろの防犯カメラの映像です。男性は川の増水に気がつき、車を移動させます。すると、わずか1分半ほど後には、駐車スペースに大量の水が押し寄せます。

「川が溢れそうになっていたので車をここに停めていたのを向こうに動かした車を動かして、戻った瞬間に一気に水が溢れて、2〜3分で腰の高さまで水浸しになりました。毎年大雨はあるんですけれども、こんなに越えたことはありませんでした」

また、3連休、お盆の時期を直撃した大雨災害は利用者の多い鉄道など、交通網にも甚大な影響をもたらしました。

記者
「午前9時半のJR博多駅です。12日は始発から運転見合わせということで、改札口はシャッターが閉まっています。そして、払い戻しのカウンターには長い行列ができています」

JR九州は11日、始発から九州新幹線の運行を博多・鹿児島中央間で見合わせました。また、博多・大分間や、博多・佐世保間などの特急列車、在来線でも門司港・八代間の鹿児島本線のほか、筑豊線や日豊本線などで運行取りやめが相次ぎました。

博多駅の利用客
「博多から大分まで仕事で行こうかと思っていました。いつ電車が動くか分からないので、現地のホテルもキャンセルして今払い戻しもしようかなと思っています」
「福岡から長崎に行きたくて特急を待っています。これからお盆なのでお墓参りに帰省します」

JR九州の在来線や特急、新幹線は11日午後から順次運行を再開。12日は、一部で便数を減らしたものの、始発から平常に近いダイヤで運行しています。福岡県内に多くの被害を出した真夏の大雨。断続的に降り続く雨の影響で土砂災害への警戒が必要です。

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