東京・立川市の事件から浮かぶ2つの課題 「防犯」「保護者対応」

2025/05/19 (月) 16:30

佐賀県基山町の小学校で開かれた不審者の侵入を想定した防犯訓練。警察による指導のもと毎年、年度初めに開催していますが2025年はより一層、緊張感を持って行なわれました。

鳥栖警察署生活安全課 大坪貴史さん
「(東京・立川市の事件の)ニュースが流れて不審者対応訓練の重要性を再認識できたと思います」

5月8日、東京都立川市の小学校で起きた事件。児童の母親の知人の男ら2人が学校に侵入し教職員ら5人に殴るなどの暴行を加えました。学校での防犯対策が喫緊の課題となる中、19日の訓練では教室のベランダから刃物を持った不審者が侵入したと想定。教職員は生徒たちを教室の外に逃がした後、刺股や椅子を使って、警察が到着するまでの時間を稼ぎました。また、立川市の事件を受け網を放出し犯人の動きを止める「ネットランチャー」を使用した訓練を初めて実施するなど不審者を制止する方法が入念に確認されました。不審者役との訓練に臨んだ教員は。

基山小学校 中村友香教諭
「できるだけ子どもたちを不審者から遠ざける。教師の初期対応の大事さを知りました。(立川市の)ニュースを見て教師として子どもたちを守らなければならない(と思いました)」

また、訓練後、警察が児童に対し、避難の際に気をつけるポイントを伝えました。

児童
「不審者が本当に来たら冷静に対応できるように頑張りたいです」
「しっかり先生の話を聞いて対応できるようにしたいです」

一方で、立川市の事件にはこれまでの事件と一線を画す部分があります。学校現場に詳しい専門家に話を聞くと。

福岡大学 入江誠剛教授
「(立川市の事件は)学校に自由に出入りできる保護者が第三者を呼び蛮行を働きました」

立川市の事件は加害者が「保護者」の関係者。母親と学校の間でのトラブルが事件の引き金になったとみられていて「保護者対応」の難しさを浮き彫りにしました。教員は「保護者対応」により多くの時間を割きたい一方で、人手が足りていないというジレンマもあります。

「現在の学校は人手不足。教育相談についての専門性を身につける機会が十分にないです」

「長時間労働」が取り沙汰される教育現場。教員の負担軽減のためにも入江教授は専門的な知識を持つ人による対応が不可欠だと提言します。

「心理職や弁護士などによる専門家チームがこういった問題(保護者対応など)に対応していくことが大事です」

立川市の事件からは教育現場にのし掛かっている「防犯」と「保護者対応」という2つの課題を強く感じさせます。

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