【LBS】忘れ物から生まれた新ビジネス 

2025/07/14 (月) 16:30

温泉の湧く量では日本一の大分県・別府温泉。外国人観光客の増加とともに、ホテルでも「あるもの」が急激に増え悩みのタネになっていました。それは忘れ物。

別府市のホテル「アマネリゾート・セイカイ」では2024年、忘れ物が360件、前の年に比べておよそ1.5倍に。うち外国人の忘れ物は半数を占めます。このホテルでは忘れ物を3カ月保管、持ち主からの問い合わせや配送の手間が業務を圧迫し、対応が遅れるとホテルサイトのレビュー評価に影響するリスクもあります。そうした課題を解決するのが、大分市のベンチャー企業LID「ロスト・アイテム・デリバリー」。社員は10人、2020年に創業しました。

LID 吉永陽介社長
「元々ホテルマンでその後輸出入事業に携わっていたものですから、この2つの経験を生かせば解決できるのではないか、役立てるのではないかと開始したサービスです」

現在、全国約1000のホテルと契約。持ち主からの問い合わせ対応や、梱包・配送を代行します。取り扱い件数は月700件、1年で4.5倍に急成長しています。最も手間がかかるのは、リュックサックなど中身が多く詰まった忘れ物です。中身を一つずつ確認。メガネなどの割れ物は個別に梱包します。国際配送で税関に提出するため物品1点ごとに原産国・重さ・素材を記入します。法律で送れないものは国によって様々、罰則が課される場合があるため全てチェックし、最後に忘れ物であることを示したシールを貼ります。

忘れ物といっても、通常便で送れないものもあります。例えばワイヤレスイヤホンのようなバッテリーを内蔵する機器は危険物扱いで通常の航空便では送れません。LIDでは、自社で国際貨物便を運航する大手物流会社と提携し持ち主に届けています。

一連の忘れ物の処理・配送にかかる料金は1件8000円から1万円程度。LIDが外国人客に請求します。ホテルは忘れ物をLIDに送るだけ。客との連絡や代金回収という面倒な業務から解放されます。送り返す際は折り紙の鶴を同封します。

LID 吉永社長
「ゲスト第一でサービスをしようとみんなでやっています。ホテル・宿泊施設の心証が上がって、また日本に来てくれるとうれしいです」

受け取った客からは喜びの声が寄せられています。

利用者の声
「海を越えて自分の手元に届き、本当に言葉にできないほど感動しました」
「荷物を受け取りました。子どもがとても喜んでいます。ご協力ありがとうございました」

LIDは年間10万件の取り扱いを目指し、今後は鉄道・空港・観光施設との連携も視野に入れています。

日経記者の目 仲村宗則大分支局長
「インバウンドの拡大とともに現場では見えにくい負担が増えています。忘れ物対応・航空機のチェックイン支援・さまざまな通訳などいわゆる面倒ごとを解決するサービスが各地で広がっています」

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