海の中道大橋事故から19年 飲酒運転がなくならない背景は?

2025/08/25 (月) 16:30

「あの事故」から19年。

記者
「福岡県庁のロビーにはこうして飲酒運転の加害者の言葉が展示されています」

「事故を起こさない自信がありましたので、少しくらいなら大丈夫という認識の甘さがあったと思います」「大事な家族を失い死にたくなった。過去は代えられない。どんなに戻りたくても戻れない」償いのメッセージ展。飲酒運転で検挙された人や事故を起こした人などの 反省、後悔の言葉がつづられています。

福岡県生活安全課 北川敬之さん
「飲酒運転は尊い命や希望ある未来を一瞬で奪い去ってしまう行為です。加害者の反省や後悔に触れることで飲酒運転の恐ろしさを分かってほしいです」

飲酒運転を巡っては海の中道大橋の事故を機に撲滅への機運が高まり事故の翌年には厳罰化されましたが。飲酒運転ゼロの実現にはほど遠い状況。その背景のひとつと考えられるのがアルコール依存症の問題です。

ASK 今成知美代表
「ニュースを見ているとアルコール依存症が背景にあるものが多いと感じます」

アルコール依存の人の支援などを行う団体の代表です。

「飲酒のコントロールが効かないのがアルコール依存症の主な症状です。コンビニの駐車場で飲んでそのまま車で行く普通の常識ではあり得ないです。こういうシチュエーション飲むか?というような事例は依存症を疑います」

「飲酒運転はいけない」と分かっていながら罪を犯してしまうケースも。

「習慣的に酒を飲んでいる人は誰でもなり得る病気です。(依存症は)意思を強く持てばいいのではなく病気の治療をする必要があります」

福岡県は飲酒運転で検挙された人にアルコール依存症の診察または専門家による指導を義務付けています。しかし、実際には検挙された人の約4割がこの診察を受けていません。このほか、県は5年以内に再び検挙された人には診察命令をだします。従わない場合5万円以下の過料を設定していますがこちらも、3割が受診していません。この状況について、専門医は。

雁の巣病院 熊谷雅之医師
「病院に行って依存症と診断されると車の運転ができなくなるかもしれないです。仕事に支障が出ます。受診してそう言われると困るから受診をしない人が多くいると推測できます。本人たちのモラルに頼っていてはだめです。どうしたら飲酒運転がなくなるか。1つはインターロッキング(アルコール・インターロック)」

アルコール・インターロックとはドライバーの呼気からアルコールを検出した場合にエンジンを始動させないようにするシステム。アメリカ・韓国などでは常習的な違反者を対象に装着を義務付けています。そして、依存症を防ぐための注意点は。

「少なくとも肝臓を休める休肝日を週2日以上設けることです。酒の量は1日(アルコール)20グラム程度です」

ビール中瓶は1本で1日の目安のアルコール20g。日本酒の場合は1合、ウイスキーは60ミリリットル飲むと20gに達するとされます。アルコール依存症の人は国内で100万人以上いるという推計もあり、正しい知識を身につけることも飲酒運転撲滅の一歩と言えそうです。

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