農作物を狙った盗難被害で農家は苦悩

2025/05/21 (水) 16:30

農作物を狙った盗難についてです。2024年、糸島市でキウイフルーツ2万7千個が盗まれた事件など、農作物の盗難が大きな問題となっています。過去に農作物を盗まれた農家は防犯に頭を悩ませているようです。現場を取材しました。

久留米市内のトウモロコシ畑。久留米市は県内有数のトウモロコシ産地として知られています。この畑を営むのは農家の野村さんです。野村さんは去年、トウモロコシの盗難被害を受けました。

農家 野村勝浩さん
「息子と収穫に入ったときに、トウモロコシがありませんでした。収穫に入っていない場所だったので(盗られたと)分かりました」

6月上旬に収穫期を迎える野村さんの農園では2024年、収穫直前に約500本を何者かに盗まれました。野村さんは被害届を出しておらず、犯人は見つかっていません。過去にもいくつか被害があったそうですが、ここまでの規模の被害は初めてだということです。2024年の被害を受けての対策として、2025年初めて行うというのが。

「今年は夜も車の中で常駐します」

収穫までの1週間、野村農園で働く数人が交代しながら夜通しで車から監視します。ただ野村さん、農家だけでは相次ぐ盗難被害への対策は限界と感じています。

「今後の盗難の啓発のためにはパトロールを強化してもらえるようにと(警察に伝えました)」

農作物を狙った盗難は増えていて、2024年は糸島市でキウイフルーツ2万7千個、70万円相当が盗まれる事件なども発生しました。こうした農作物の盗難事件。対策で一番有効とされているのが、防犯カメラです。販売会社では。

防犯カメラ販売会社・HYN 山元祐毅さん
「収穫期や夜間に襲われるケースが多く、そこで問い合わせをもらう状況が増えています」

こちらの会社ではこの5年、農家からの問い合わせが増加しており、5年前の6倍に。その多くが収穫期前の被害を警戒し、防犯カメラの導入を検討したいという話だということです。そして、農家から最も問い合わせが多いというカメラが。

「今映像に映しているサーモカメラ。例えば森の中に隠れていても熱があれば、人の形が浮き出てくるので、誰が隠れているのか一発で分かります」

サーモカメラは夜間の侵入対策に効果があるといいます。農地周辺は明かりが少ない所も多いですが、人の熱を検知するため、侵入したかどうかは一目瞭然です。さらに遠くからでも、侵入者に対して光や音で警告することが可能です。

「何しているんですか。見えていますよ」

また、AI機能が搭載されたカメラも人気です。AIが人の顔を覚え、関係者以外の侵入があった場合に、スマートフォンなどへ知らせる仕組みです。一方。

「農場に電源がないケースが多く、まず電源を引っ張ってくる工事になる。金額的には数十万円。支払うのであれば被害に遭っても我慢せざるを得ないという話も聞きます」

こうした防犯システムを導入するには多額の費用がかかる上、被害を完全に防げるとは限りません。丹精込めて育てた農作物を収穫する前の大切な時期。盗難に対する備えは農家の深刻な課題です。

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