【備蓄米】恩恵得られない飲食店では苦悩続く

2025/06/17 (火) 16:30

福岡でも店頭に並び始めた政府備蓄米。家計を苦しめ続ける「令和の米騒動」終結へ。明るい光も見え始めましたが。

東筑軒 佐竹真人社長
「現状、なかなか採算が取れていないです」

北九州市の「東筑軒」です。大正時代から販売する「かしわめし」は折尾駅の名物駅弁。北九州で100年以上愛されるソウルフードです。そんな駅弁に2025年3月ある変化が。

「こちらが大麦入りの(ご飯)です」

コメ高騰が続く中、コメより安く仕入れられる大麦をブレンドしたのです。

「駅弁で1000円を超えるのは客が手に取りにくいという思いがありました」

現在970円のかしわめし。手に取りやすい駅弁として1000円以内の価格を守るための苦肉の策でした。あれから3カ月。

「(コメ価格は)さらに上がる見積もりが来ています」

備蓄米放出による恩恵は飲食店までは届いておらず業者からのコメの仕入れ値は、逆に値上がり。さらに、のりや卵も7月以降、価格が上がります。

「今の大麦の割合を考え直さなければならないです」

仕方なく大麦の量を今後さらに1割ほど増やすというのです。そして。

「今までギリギリでやって来たが、無理があり駅弁として心苦しいが1000円を超える価格にします」

9月をめどにやむを得ず値上げに踏み切ることに。「備蓄米」が手に入れば使いたいといいますが。

「家庭優先で回るので、業務用に回ってくるのはまだまだ考えられない感じはしています」

一部の消費者には届きつつある備蓄米ですが、飲食業者には入荷のめどが立っていません。

コメの流通に詳しい、流通経済研究所の折笠主席研究員によると「選挙前ということもあり政府の思惑として国民が効果を感じやすいスーパーなどへの放出を最優先にしている。飲食業者に回ってくるのはまだまだ先になる」とのことです。一方、こちらは遠賀町にあるレストラン。その名物料理が

糀 こめのはな 金田淳二代表
「初夏のべいめんです」

記者
「べいめんとは?」

糀 こめのはな 金田淳二代表
「コメだけで作った麺です」

2009年に開発した米粉100%でつくる麺「べいめん」です。「コメ」そのものの味を生かしたもっちり食感の麺。誕生のきっかけは。

「田んぼを守ろうとまず始まりました。そのためにはコメの消費を増やさなくてはならないです。ご飯はあまり食べられなくなったので粉にして麺にして食べてもらおうという思いから始まりました」

食の趣向の変化もあり日本人のコメ離れが加速。1人当たりのコメの年間消費量は50年前のピーク時と比べ半分以下にまで減っています。今でこそコメ不足が嘆かれますが、これまでコメは過剰生産とされていました。国は1970年ごろから「減反政策」でコメの生産量を抑制。ほかの作物へ転作する農家に補助金を出してきました。

「田んぼがどんどんなくなっています。コメを作る人も少なくなっています。コメを食べる人も少なくなっています」

2018年にこの政策は終了したものの、後継者不足などから生産量の減少は続いています。「べいめん」には福岡県産米を100%使用。コメの仕入れ値は1年前の2倍と苦しい台所事情ですが「地元産米」の使用がブランドの柱なため、備蓄米の導入は考えていません。そんな中、注力しているのが

「海外の市場の評価を求めて、販路開拓を一生懸命しています」

海外展開する日本食レストランに「べいめん」の売り込みを計画中です。小麦粉を使わないグルテンフリーの米粉麺は健康や美容への意識の高まりもあり、海外ウケも良いといいます。今回の騒動を「コメ」の大切さを再認識してもらうチャンスと捉えています。コメの価値が高まれば「田んぼを守る」という当初の目標への近道になると考えているのです。

「次を担う若者たちがやってみたいと思える夢とロマンを追えるコメ作り。そういったものを伝えていきたいです」

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