石けんメーカーの消火剤が世界で注目 北九州市のシャボン玉石けん

2026/05/25 (月) 16:30

日本各地で大規模な山火事が相次ぎ、甚大な被害をもたらしています。雨不足や温暖化が要因とされ、こうした火災は、世界でも深刻化しています。世界での森林消失面積は20年前の2倍に増加。2025年は26万平方キロメートル、1年で日本の面積の70パーセントに相当する森林が失われました。そうした火災に挑む企業が北九州にあります。それが、「シャボン玉石けん」です。しかし、なぜ石けんメーカーが?これは、春先に行われる北九州市・平尾台の「野焼き」散布される消火剤に、ある特徴が。

北九州市消防局 井上長太朗さん
「これは石けん系の消火剤です。泡が消えやすいという特徴があるので環境への影響が残りにくい、そういった特徴があります」

水で100倍に薄め、一般の住宅火災で使った場合、水の使用量は17分の1で済むといいます。なぜ水の量をこれほど減らせるのでしょうか?まず石けんの泡が、木などの燃えているモノの表面を覆い、酸素を遮断して、燃焼を抑えます。

水には、表面張力があり、土や落ち葉などに浸透しにくい性質があります。一方、石けん系消火剤には表面張力を弱める界面活性剤が入っているため、水分が奥まで行き渡りやすくなるのです。

シャボン玉石けんは1910年創業。高度経済成長期には、合成洗剤を販売していましたが、1974年に動植物の油脂でつくる石けんの製造・販売を開始。環境意識の高まりや安全志向を背景に、事業を拡大してきました。2026年2月期の売上高は、137億円です。石けんの材料には、牛脂やパームなどからとった動植物性の油脂などを使用。1週間かけて釜で反応させて石けんの素を作ります。出来栄えは舐めて確認。

実は、従来の泡を使った消火剤は、消火後の環境への影響が問題となっているのです。シャボン玉石けんの消火剤は実験で、化学成分の入った消火剤に比べ、消火後の環境で、イネの発芽に影響が少ないことが確認されました。シャボン玉石けんは、北九州市消防局の依頼を受け2001年から消火剤の開発に着手、2007年に実用化しました。2024年からは、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択され、インドネシアなど海外で石けん系消火剤の実験を進めています。

国立パランカラヤ大学 キッソー・クシン博士
「私は消防の活動にも参加して消火活動をしている。(インドネシアの森林火災は)非常に状況は悪いと感じている」

インドネシアでは2015年に2万6000平方キロメートルの森林が火災で焼失するなど、近年の火災に危機感を強めています。そこで、シャボン玉石けんに白羽の矢が立ちました。

シャボン玉石けん 森田隼人社長
「インドネシアにおいて泥炭火災を消すという実証実験を行って好調な結果が出たが、これから普及させていく。環境にも優しいという側面がありますので、日本国内、それのみならず世界に向けてしっかり広げていきたいと思っています」

日本経済新聞北九州支局 近藤康介支局長
「環境配慮のメリットが大きい石けん系消火剤の課題は割高な点です。合成系の2倍ほどの価格をどこまで引き下げられるかが、普及の鍵になりそうです」

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