白黒パッケージが逆効果に 中小の団体が抱える

2026/05/26 (火) 16:30

筑後地方で栽培が盛んな葉もの野菜の収穫が進むビニールハウスの中。

野菜収穫の担当者
「ここの圃場(ほじょう)は、土がやわらかいんですよ。うまい具合に機械が入るが、ちょっと硬いところが四苦八苦する」

生産現場の声に耳を傾けるのは、地元の生産者らでつくる農業組合・太郎グループの大坪義揚組合長です。

生産した野菜の品質への評価は高く主に県内のイオン・マックスバリュなど大手スーパーの店頭に並びます。また「JGAP」という食品安全や環境保全に関する厳格な認証を取得したことで、「福岡県産小松菜」としてコンビニ大手・セブンイ−レブンの惣菜にも採用されています。

収穫したての新鮮な野菜が集まるのは、大刀洗町にある食品工場。小松菜やホウレンソウ、水菜などの野菜がここで袋詰めされてから小売りの現場に出荷されます。消費者の手に届くまで鮮度を守るには野菜を包む透明の袋が欠かせませんが。

大坪組合長
「これが野菜を包装するための袋です。5月から1.5倍ぐらいに値上がりした」

ナフサ不足が原因で、野菜を包むフィルムのほか商品名などを記すためのインクも高騰し、袋の仕入れ価格がおよそ5割も上がったといいます。

大坪組合長
「年間で換算すると袋だけでもおそらく2000万円とか、そのぐらいの数字(コスト増)」

悩ましい課題は仕入れ価格の大幅な上昇だけではありません。

大坪組合長
「それこそ中東情勢次第で何とも言えないけれど、最悪はインク自体が入荷しないので、まっさらな透明な袋になる恐れもある、という話です」
「白と緑ですよね。このインク自体がなくなったら何もない、こんな状態になる」

商品名などの重要な情報もインク不足で記せず、「無地の袋」しか提供できなくなるかもしれないと業者から通達があったのです。

そこで大坪さんは現在カラーのパッケージを、カルビーのポテトチップスのように白黒に変更できないか業者に問い合わせましたが、想定外の答えが。

記者
「白黒パッケージに変更するとコストダウンにつながるのでは?」

大坪組合長
「いえ、むしろコストアップですね。デザインを変えるためには、フイルムを作る印刷用の版を変えないといけないが、それだけで1種類で20〜30万円かかる。うちの場合は20種類近くあるので、白黒に変えますとなった時に、500万円はかかる」

商品を大量生産する大手企業にとっては、白黒変更がコスト削減につながりますが、農作物ごとにデザインを変更する必要があり、この農業組合では500万円以上を投資して白黒変更に踏み出せるほどの余裕がないといいます。

記者
「中小の規模では機動的な変更は難しい?」

大坪組合長
「できないですね」

さらに、値上げの波は袋以外にも。

大坪組合長
「いま1日で、段ボール何箱、フィルム何本ぐらい使いよるかね?」

工場長
「段ボール1日2000箱、袋のフィルムでいうと10本くらいですかね」

段ボールの製造に必要な燃料・エネルギーコストの上昇などに伴い価格が改定され、仕入れ値は5月から2割アップ。

年間50万箱必要な段ボールと野菜を包む袋だけで合わせて、年間3000万円ものコスト増が見込まれ、年間の売り上げが7億円ほどの農業組合にとっては死活問題だといいます。

大坪組合長
「経費が上がっている分、野菜(価格)も上がってもらいたいんですけれども、野菜は相場の関係でなかなか上がってこないのが現状」

実は、太郎グループの小松菜をはじめとした野菜の販売価格は、2025年と比べて1割下がりました。コストアップと販売価格の下落が重くのしかかっています。そうしたなか。

大坪組合長
「まだ一部なんですけれども、段ボールじゃなくてコンテナで繰り返し使いながら出荷していくのも検討しています。段ボールの値段がどんどん上がれば、コンテナ出荷に切り替える可能性もある」

段ボールへの箱詰めをせずコンテナのまま出荷できる取引先の開拓へ。
資材の価格に左右されにくい体制づくりを模索していますが、経営努力だけではコストの吸収は難しいのが現実です。

大坪組合長
「消費者の方は野菜が安いとうれしいんでしょうけれど、その辺ご理解いただいて、少々高くても良いよという空気というか、雰囲気にしてもらいたい」

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