子どもたちが保護犬のお世話に挑戦 不登校予防・命の大切さ学ぶ

2025/07/25 (金) 16:30

福岡県内の不登校の児童生徒は2023年度に2万人を超え過去最多を更新、年々増加傾向です。そんななか、小中学生の不登校の予防につなげようと全国でも珍しい取り組みが始まりました。

午前7時45分。
「ワンワン(おはよー)」

子どもたちに元気にあいさつするのは6月、この学校にやってきたグリちゃん生後7カ月。地域の人から「子犬が育てられない」と引き取られた保護犬です。子どもたちに囲まれ、いまでは学校イチの人気者です。

2025年4月に開校した八女市立みさき学園は小学校から中学校までの義務教育を9年間一貫して行う義務教育学校。教頭の大塚さんは長年、動物の保護活動に関わる中で今回の取り組みを思いついたそうです。

教頭 大塚香奈子さん
「自分で遅れずにお世話に来たり、いつも遅刻していた子が急いで来たりするのを見ると、命なのでいい加減なことはできないという感覚はあるのかなって思っています」

保護犬を学校で飼育する目的は大きく二つ。一つは犬の世話するという役割を与えることで不登校を防ぐこと。もう一つは動物の保護活動を通じて命の大切さを知ってもらうことです。

子どもたちの授業が始まるとグリちゃんはしばしお昼寝タイム。

犬の世話はかわいいばかりではありません。

児童
「おしっこした。そこじゃないけど。大丈夫」

世話だけでなく引き取ってくれる人を見つけるのも仕事。ポスターをつくり近所に配りに行きました。

児童
「けっこう人なつっこので早めにもらわれると思うけど、もらわれたらもらわれたで寂しい」

1カ月ほど子どもたちと時間を共にしてきたグリちゃん。ついに譲り受けたいという家族が。

家族
「グリちゃん。初めまして〜」

インターネットでグリちゃんを知った福岡市に住む家族。12歳のチワプー「ネネちゃん」もいます。

グリちゃんも落ち着いている様子。相性は良さそうです。

教頭の大塚さんは世話をしてきた子どもたちを集めました。

教頭 大塚さん
「今から里親希望さんの面会に入りますので何か質問したいことがあればしてください。君たちの印象や質問の答えで判断していきたいと思います」

代表の子どもたちが面会に臨みます。

児童
「どうしてぐりの里親・飼い主さんになろうと思ったんですか」

里親希望の人
「もともとペットショップからお迎えするつもりは全くなくて、捨てられてしまってつらい思いをしているワンちゃんを助けられたらなと思って、グリちゃんを見つけました」

子どもたちも心を決めたようです。

教頭 大塚さん
「いろいろな苦労を君たちもしたかもしれないけれど、グリちゃんも苦労したんですね。あんなにちっちゃいのに苦労をしてきたのでぜひ心を込めて送り出して幸せになってくれるよう願いたいと思います」

いよいよお別れの時。子どもたちの表情は複雑です。

教頭 大塚さん
「ちょっと寂しくなるね」

児童
「じゃあね。グリ」

子どもたちが書いたアンケートには次のような感想が書かれていました。

児童
「月曜日の朝起きるのがイヤで、でもグリちゃんと朝遊べると思うと楽しみで早く学校に行きたくなる」

教頭・大塚さんはこの言葉を読んで今回の取り組みは間違っていなかったと確信しました。不登校を生まない学校づくりはまだ始まったばかりです。

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