「生きづらさ」を抱える子どもに大人は何ができる? 自殺数は去年過去最多 

2025/09/04 (木) 16:30

529人。この数字は2024年、自ら命を絶った子どもの数です。過去最多となりました。特に夏休み明けの9月は子どもの自殺が最も多い時期だといいます。子どもが「生きづらさ」を抱えないようにするために私たち大人は何ができるのか考えます。

小学6年生の娘を育てる母親のAさん。娘が5年生の時、学校に行けず苦しみ、自ら命を絶とうと考えていたことをAさんに打ち明けました。

母親Aさん
「包丁を手に持って自ら命を絶とうと思った、自殺をしようと思ったと話してくれて、マンションの上から飛び降りようとしたこともあると打ち明けてくれました」

この出来事があったのは去年。Aさんは子どもとどのように向き合えばいいのか分からなくなったと言います。

「5月の連休明けから行き渋りで親としては揺れ動きながら行かせた方がいいのか、休ませた方がいいのかとすごく迷いながら、学校に行かせようとすると玄関で大の字になって伸びているんですね」

子どもが何を考えているのか分からないという大人の声がある一方、子どもも自分の思いをどう伝えれば良いか分からず悩む時期があると言います。そのため久留米市の中学校では、生徒に向けて自分の気持ちを言葉にするための取り組みを行っています。

講師
「あなたはいつも安心して生活する権利があるんです。自信をもって自分らしく振る舞う権利があるんです。権利って『してもいい』ってことです」

授業で伝えているのは「子どもの権利」。子どもも「一人の人間として尊重する」という考え方です。2023年4月に施行された「こども基本法」によって「子どもの権利が守られるべき」と法律で定められました。これを背景に子どもたちが心のSOSをどう発すればいいのかという授業を行っています。

講師
「自分さえいなければいいんじゃないかと考え始めたら、それもSOSのタイミング。いつも我慢する役割とかいつも(大人の)思い通りにする役割になったら、SOSのタイミングです。他の誰かが自分のことを決めてしまっているときは、SOSのタイミングです」

子どもには自分の気持ちや考えを表現する「権利」があります。「我慢しすぎてつらい」「自分の存在を否定してしまう」ときにはSOSを出していいサインだと伝えていました。

Q.子どもの権利という言葉が出てきたけど知っていましたか
生徒
「いや。全然知らなかったです。きょう初めて知って、自分たちにはちゃんと子どもとしても権利があるのだから大人たちに頼っていいのだと理解しました」
「自分が我慢していればみんなが楽しくおさまるかなと思って、あまり自分の意見を言えないときもありました。自分が嫌な時に自分から嫌だと言えるようになりたいと思います」

子どもの権利を守るために大人は何ができるのか?こどもの権利に詳しいNPO法人 にじいろCAP代表の重永さんは、子どもとの向き合い方を次のように提案しています。
 
重永さん
「例えば上司の口にケチャップが付いていたら相手のプライドを傷つけないよう気を遣って指摘しますよね。でも子どもだと黙って拭いてしまう。その日常的に当たり前に行われる対応は、子どもの自尊心を傷つけかねません。大人にする当たり前の配慮を子どもにも当たり前に向ける、それが子どもの権利を守るということです」

ここで重永さん監修の「子どもの権利」理解度チェック。もし子どもが学校に行きたくないと言ったら、あなたならどうしますか?

1「休ませる」
2「話を聞きながら、一緒にどうするか考える」

男性
「休ませます」
Q.それは何でですか
「子どもが休みたいと言っているので」
女性
「これ即答で私2だな」
男性
「僕は1」
女性
「なんで休みたいのかっていうのをまず聞いてみたいなっていうところで、その答えによっては休ませる。父親であるあなたは?」
男性
「小さいときから父親に、行きたくなかったら行かなくていいよって言われていた。理由はあまり聞かれない」
女性
「夫の意見を聞いて確かに、子どもの立場に立ったら親に言いたくない気持ちもあるかもしれないよね」

状況はさまざま。実際、答えが一つとは限らないとした上で「子どもの権利」を理解した大人の対応は・・・。

重永さん
「答えは2番。子どものしたいようにさせる自分で決めなさいと放置することは権利を守ることではありません。大人が選択肢を示しながら、大事なのは子どもと一緒に対話をもって最善の道を探ることですよ」

冒頭で娘について悩みを語ってくれたAさんも、子どもの権利を意識することで親子の関係が変わったと言います。

母親
「この体験を通してすごく子どもの権利というものが大事なんだと分かった。やっぱり話を聞く、傾聴が大事なんだと思いました」

子どもの権利を理解して、普段からその気持ちを受け止められるかどうか。それが子ども自身が自分の価値を知り、命を守ることにつながるカギなのかもしれません。

重永さん
「大人としては日常の雑談を大切にしてください。雑談ができる幸せ、当たり前が大事じゃないか。雑談の時ほどあなたはあなたのままでいいんだよとか、いろんな考えってあるよねっていう、大人の懐の深さを見せてほしいかなと思います」

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