「地上最強の植物」が大雨の備えの妨げに 外来の水草に警戒を

2026/06/10 (水) 16:30

佐賀市の農家 南里 実さん
「これから稲を栽培します。これで1町3反あります」

佐賀市の農家・南里 実さんです。これからの田植えに笑みを浮かべて意欲満々。ただ、水田のそばにある水路に目を向けると、顔が曇りました。ある植物を見たからです。

南里さん
「これはナガエツルノゲイトウという外来種なんですよ。地上最強の植物と言われています」

南米原産の特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」。繁殖力が極めて高く、河川などに急速に広がります。陸上でも繁殖するんです。法律で栽培は禁止。ところが全国で大繁殖を続けています。

南里さん
「ナガエツルノゲイトウが田んぼに入ると、大変なことになります。葉をちぎって、その破片が(田んぼに)入ったとします。その破片からも根がついて、繁茂します。入ってしまったら、稲の収穫が皆無になります。コンバインで刈り取るときに、ナガエツルノゲイトウが稲に巻きついて、コンバインで刈り取るができないということになります」

加えて南里さんは、「河川や水路の流れを妨げる厄介者だ」と教えてくれました。梅雨の大雨による被害が拡大する恐れがあるからです。

南里さん
「ナガエツルノゲイトウを見たら、嫌ですよね。真剣に嫌です」

どれほど生い茂っているのか。佐賀市の職員が水路の確認に訪れました。河川などの維持やナガエツルノゲイトウ対策を担当する上瀧誠治さんと藤井涼馬さんです。水路にはナガエツルノゲイトウがびっしり。

佐賀市 河川砂防課 上瀧誠治さん
「ほんの佐賀市内の一部です。こういうナガエツルノゲイトウが繁殖している場所が、どんどん増えています」

記者も探してみました。すると。

記者
「ありました。ナガエツルノゲイトウ。水路の奥までびっしりと生い茂っています。これだと水の流れが滞りますよね」

30分ほど探しただけで4カ所を確認。佐賀市でナガエツルノゲイトウが生い茂る面積は、2019年度は約5万平方メートルでした。それが2025年度は約13万8000平方メートルに広がっているのです。水位を調整する「樋門」と呼ばれる重要施設にも。

佐賀市 農村環境課 藤井涼馬さん
「樋門にナガエツルノゲイトウが絡み、動かせなくなる恐れがあります」
記者
「動かせなくなると、水かさが増しても水位の調節ができず、内水氾濫なども起こりうるわけですか?」
藤井さん
「そうです。それは起こりうると思います」

佐賀市は2026年度、重機などを使った駆除費用を約1億5000万円と見込んでいます。ただ費用をかけても、根絶は難しいのが実情です。そこで、ある植物を使い、ナガエツルノゲイトウの繁殖を抑制する取り組みを始めました。

記者
「鉢に植えられた植物は何ですか?」
佐賀市 河川砂防課 上瀧誠治さん
「これはクウシンサイです。これでナガエツルノゲイトウの繁殖を抑制させたいと思っています」

仕組みはシンプルです。

上瀧さん
「水路のナガエツルノゲイトウが繁茂している場所、その上流でクウシンサイを栽培することによって、水中の養分をクウシンサイが吸収します。その結果、ナガエツルノゲイトウが吸収する養分が少なくなり、繁茂を少しずつ抑制させていく計画です」

繁殖力の高いクウシンサイに水中の養分を吸収してもらい、ナガエツルノゲイトウが繁殖しにくい環境をつくり出そうというのです。川からの養分が欠かせない有明海のノリ養殖への影響もしっかりと調べます。

上瀧さん
「大きなイカダのようなものを組んで水耕栽培をして、ナガエツルノゲイトウの抑制につながっているかどうかを実験していきます」

佐賀市が参考にしたのは、岐阜県・恵那農業高校の生徒たちが、ダムでクウシンサイを水耕栽培していたこと。クウシンサイに水中の養分を吸収させ、濁りや臭いのもとになる植物プランクトンの増殖を抑えようという取り組みです。

恵那農業高校 教諭 舟木 蓮さん
「クウシンサイを水上で植えたとしても枯れません。繁殖力も高いので、クウシンサイは最適と考えています」

上瀧さん
「ナガエツルノゲイトウが繁茂することで、水害を拡大させる恐れがあります。この危機をクウシンサイを使い、どうにかして打破できればと期待しています」

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