川が近くにない街中も浸水「内水氾濫」 被害を防ぐため福岡で進む取り組みとは?

2026/06/16 (火) 16:30

雨のシーズンに私たちが警戒しなければならないのが、川などの氾濫ですが、川が近くにない街中が突然水に浸かるということがあります。それが「内水氾濫」です。この内水氾濫を防ぐための取り組みを取材しました。

今週後半は雨の日が多くなる予想の福岡県内。雨が降る時季、大雨による災害で警戒したいのが「内水氾濫」です。

内水氾濫に詳しい 福岡大学工学部 渡辺亮一教授
「内水氾濫の特徴として挙げられるのが、非常に速い時間で浸水していくことです」

内水氾濫は、市街地などに短時間で局地的に雨が降ることで排水が追いつかず、下水道などから水があふれ出し、浸水する現象です。マンホールから水が噴き出すこともあります。福岡市が作ったハザードマップによりますと、想定される最大規模の雨量である1時間に153ミリの雨が降った場合、福岡市の中心「天神エリア」を通る国体道路の内水氾濫による浸水が1メートル以上と想定されています。こうした浸水被害を防ごうと、天神地区の地下である巨大プロジェクトが進められていました。

福岡市中部下水道課 室園広誠課長
「福岡市が行っている、雨水を流すための管を造っている工事現場です」

これは、地下に雨水を逃がす道を造り海へ流すことで、大雨の際に一気に川や下水道から水があふれないようにする一種のバイパス工事です。この工事のきっかけとなったのは、1999年に九州北部地方を襲った記録的な豪雨です。福岡市で1時間に79.5ミリの雨量を観測し、博多駅近くのビルの地下には水が流れ込んで水位が急上昇。1人が逃げ遅れて死亡し、都市での対策が見直されました。工事は段階的に行われていて、1期目は天神や警固など特に浸水被害が大きかったエリア。これは既に完成し、7年前から稼働しています。現在は2期目の工事で、取材した現場は、長浜地区の地下に位置します。長い雨水管を海の方向へ進んでいくと。

「一番先端にこのトンネルを掘り進んでいるシールドマシンがあります。天神地区で浸水被害があった時の最大雨量は79.5ミリだったので、耐えられるように整備を進めています」

1期目と2期目を合わせた工事費用は400億円。全長7.7キロに及ぶ雨水管の整備は2029年の完成を予定していて、その後は天神周辺の地区からさらに範囲を
広げていきたいとしています。下水道などへの急激な雨水の流入を防ぐこうした取り組みは、行政のインフラ整備以外でも進んでいます。

福岡大学工学部 渡辺亮一教授
「雨水流出抑制施設として活用するグラウンドです。大雨が降ったときにここで貯留して、雨がやめば(地下に)浸透させるという構造になります」
 
グラウンドの外周を高さ40センチほどのコンクリートで囲い、雨水を一時的にためます。家庭用の風呂約7000杯分の水をためられるようにする計画です。ではたまった水はどのように排水するのでしょうか?その秘密はグラウンドに入れる土にあります。一般的な土とグラウンドに使われる改良した土を比較した実験です。改良した土は特殊なセメントなどを配合し、浸透性や保水性を高めています。それぞれ水を流し込むと。一般的な土の上には水はたまったままですが、改良した土の方は、あっという間に水がはけました。

「同じ量の水を入れても改良した土はすぐに浸透していきます。浸透速度は30倍以上です」

雨水が地下に浸透していき、近くの川に排水されるというわけです。この福岡大学が実施する、水害対策としてのグラウンドの改修工事は費用の多くを国や県、福岡市が補助します。

「今回のグラウンドはあくまできっかけで、例えば城南区内の全小中学校・高校で実行していけば効果が出てきます」

福岡大学は2026年秋までに工事を始め、2026年度中の改修を目指しています。いつ起きてもおかしくない内水氾濫。過去の教訓を生かした備えが多方面で進んでいます。

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