大学生が影の救世主?ギラヴァンツが理系男子とタッグ

2025/06/06 (金) 16:30

北九州市に本拠地を置く、サッカーJリーグ、ギラヴァンツ北九州。現在、Jリーグ3部のJ3で3位と、上のカテゴリーへの昇格を目指して奮闘を続けています。ギラヴァンツ北九州は2010年にJリーグに加盟しました。

2017年には小倉駅北側ミクニワールドスタジアムが完成。J1の観客収容基準を満たし、国内で最も新幹線の駅に近いスタジアムといわれる好立地です。2019年シーズン、J3で優勝を果たし、J2へ昇格。北九州の街を大いに湧かせ、さらなる飛躍に期待が集まりましたが、その後成績不振でJ3に降格。2023年は、J3で最下位という屈辱的なシーズンを送りました。

新門司球場で公式戦に向け練習するギラヴァンツ。そこに、現在のチームを影で支える人物が訪れます。

大学生「池西さんこんにちは」
ギラヴァンツ 池西さん「よろしくね!はじめまして。きょうは練習を見ながらいろいろ話ができたらと思います」

チームの強化責任者のもとを訪れたこちらの若者は松山凌空さん(21)。九州工業大学の学生です。情報工学部の4年生で、プログラミングを学んでいます。そしてなんと、彼こそがチーム浮上の新たなキーマンだといいます。

ギラヴァンツ 池西希さん
「あれね、あれ。あの白いの」

強化責任者の池西さんが案内した先にあるのは選手の練習風景を撮影するためのカメラです。

ギラヴァンツ 池西希さん
「今、これは生で録画できていて後でキーパーコーチとかがトレーニング後に見ることができます」

監督やコーチ陣が後ほど確認できるよう撮影しているのですがこれだけではなく。

ギラヴァンツ 池西希さん
「これがGPSの機械で選手がどれだけ走ったかとかのデータを取れるようになっています」

実は、選手の走行距離などの詳細なデータを数値化しているというのです。スポンサーである大手ソフトウェア会社の協力を得て選手1人1人にGPS装置を付けています。ギラヴァンツがいま力を入れているのがデータ活用なのです。

ギラヴァンツ 池西希さん
「Jリーグが一括して(今年から)J1・J2・J3の全チームに対して選手がどのくらいの距離を走ったかとか、どのくらいのスピードで走ったかとか、データを配布するようになりました」

これまでは最高峰のJ1のチームにのみ、選手ごとの走行距離やスピードをはじめとした試合中の各種データをリーグ側が提供していました。それが今年から、J2・J3のチームにもデータを提供するように変わったのです。つまり、ギラヴァンツもチームの強化にはデータ分析が必須になったというわけです。

しかし、チームごとの平均売り上げを比べると、J1の1チーム年間60億円に対しギラヴァンツがいるJ3は平均8億円と大きな格差があります。チームの予算が限られることからデータ分析を担当する人手も限られているのです。

そこで活用したのが地元・九州工業大学の「有給インターンシップ制度」。企業は優秀な学生をアルバイトとして雇うことができ、課題解決に取り組んでもらえるのです。これまでも、介護の現場やインフラ産業など幅広い分野に学生の力が生かされています。

九州工業大学 ソーシャルコミュニケーション課 花辺圭輔課長
「いろいろな分野で、データを使うことが出てきている中で、学生に視点を与える点では大きいと思うし、(チームと大学の)連携が組織化されていき共同研究とかに発展していけばいいと思います」

この日は、学生とチームの強化責任者の打ち合わせ。

ギラヴァンツ 池西希さん
「4月26日に行われたギラヴァンツ北九州vs松本山雅FC戦の試合のデータで、樺山選手は10.6キロ走りました」

Jリーグから選手ごとの大量のデータが送られてきます。これまではデータ処理のプロではない池西さんが集計に追われていました。

ギラヴァンツ 池西希さん
「これを全試合していました。J1・J2・J3。膨大な作業でした」

そこで学生たちの力が生きます。

ギラヴァンツ 池西希さん
「例えば1節から9節までまとめたデータがあります。このデータを全部松山君に渡して、何かの処理をポンとしたら、こういう風にはじき出るようにしてくれない?とオーダーしたプログラミンがこれ!」

画面に出てきたのは文字や記号の羅列。

記者
「これ、なんですか…?」

九州工業大学 松山凌空さん
「これはCSVファイルにチームとかのデータがあるので、これを読み取って計算してエクセルファイルに出力する」

つまり選手ごと膨大な数値を、学生が作った解析プログラムに紐付けるだけで、チームがほしい情報ごとに整理する仕組みを作ったのです。松山さんは依頼を受け自宅で解析プログラムを作成。プロチームで運用できるクオリティに仕上げました。
       
九州工業大学 松山凌空さん
「(Q.つくるのにかかった時間は)合計すると30時間くらいかかりました(Q.難しかった)最初はつまずいたりすることもあり時間がかかりました」

予算に限りがあるJ3では、松山さんのデータ解析は他のチームから優秀な選手を獲得するための重要な指標にもなるといいます。

ギラヴァンツ 池西希さん
「選手の獲得でも相手チームのデータ、また他のJ2・J1のチームのデータもあるので、どういう選手を獲得するか、指標になり活用できる」

学生のスキルがチーム強化につながりまた学生も社会経験を積める。新たな仕組みがギラヴァンツを勝利に導くかもしれません。

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