【実話】日本唯一の「馬車屋」が絵本に 食用馬と男性の出合い

2025/05/29 (木) 16:30[2025/05/30 (金) 11:46 更新]

「サダさんと白い馬」という絵本。感動的な内容の動画がSNSで話題を呼び絵本として発売されるのですが、そのストーリーは「幸せ配達人」と呼ばれる福岡のある男性の実体験を元にしているんです。

上山音アナウンサー
「軽快な足音が聞こえてきました。もしかして“サダさん”ですか?」

キャリッジプロジェクト貞松和彦社長
「サダさんです。」

「(白馬は)シュガーちゃんといいます」

福岡市早良区石釜で牧場を運営する貞松和彦さん(57)。

大柄な白馬のシュガーのほか犬やポニー、ミニブタなど色々な動物が一緒に暮らしています。

上山音アナウンサー
「にぎやかな牧場ですけど、貞松さんの主なお仕事って何ですか?」

キャリッジプロジェクト貞松和彦社長
「メインは結婚式の馬車屋さんです」

「国内ではうちだけですね」

貞松さんは2014年、全国を見渡しても他に知らないという馬車派遣会社を設立。福岡市の結婚式場と契約し、白馬が引く馬車で新郎新婦を運ぶ演出を行っています。

その活動からついた異名は「幸せ配達人」。依頼があれば馬車は全国に派遣が可能で、イベント出演や企業PRのお手伝いもお手のもの。

さらに、白馬と貞松さんはSNSでも話題になりました。白馬でドライブスルーをする驚きの映像は、TikTokの再生回数が270万回を記録。実は馬は、法律の上では軽車両扱いで、公道を歩くことができるのです。

SNS上では「白馬のおじさま」と話題になった貞松さんですが、かつてこんな顔も。

「元々は乗馬クラブで選手・指導員をしていました」

以前は障害馬術の選手として活躍。全国大会で優勝するほどの実力者でした。

現役引退を期に子どもの頃からの夢だった馬車屋を始めた貞松さん。相棒の白馬とは意外な場所で出合っていました。

「馬たちが集まる肉屋・競り。そういうところに行って馬を選んで買ってくる。食肉になる馬なんですね」

日本では基本的に競技用、または馬刺しなどにする食用として馬は育てられています。白馬のシュガーはフランス原産の食用馬。貞松さんは食用馬の競りに出向き、偶然目が合ったシュガーを購入したというのです。

「手入れもされていないし、ただエサを食べていただけなのであまり人間のことを信用していないんだけど、手をかけて触ってあげてちょっとずつ仲良くなっていって」

はじめは人の手すら怖がっていましたが、愛情を受けて育ち今では人からニンジンをもらうのが大好きです。緊張気味の私が背中に乗ってみても…

上山音アナウンサー
「気持ちいい。慣れてくると乗り心地いいですね」

キャリッジプロジェクト貞松和彦社長
「足音もいいでしょ」

この通りとても落ち着いています。

馬車屋として笑顔を運ぶまで簡単ではない道のりだったという貞松さん。彼と馬の歩みを描いたのが、7月に発売される絵本「サダさんと白い馬」です。

絵本になるきっかけは、発信するSNSがある女性の目に止まったことでした。英語通訳・翻訳家の久我智美さん。貞松さんの物語を絵本にした人物です。

久我智美さん
「SNSを拝見するうちに、馬愛がすごいなと。詳しくお話を聞いたら白馬にはすごい歴史があって簡単に幸せになったわけではないと分かりました」

久我さんはコロナ禍で結婚式が減るなど事業に打撃を受けた牧場を応援できればと、貞松さんと先代の馬との物語を動画にすることに。この動画が反響を呼び、絵本として販売することを決めたのです。

久我智美さん
「貞松さんも大したことはやっていないと思っているでしょ?」

キャリッジプロジェクト貞松和彦社長
「普通に、馬と仕事しているだけっていう感じですね。自分の孫に渡せたら。うちのじいちゃん絵本になったばいっていう」

絵本化をきっかけに自身の半生を振り返ったという貞松さん。夢はこのままの日常を続けることだと言い切ります。

「1日でも長く同じことを続けていければ。馬にも寿命がある。あと10年はシュガーちゃんと一緒に幸せ配達を続けたいと思います」

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